猫神様
ある日、家出中の白猫に猫神様が憑依した。どうやら僕に伝えたいことがあるようだ。
「星の王よ。最近、獣狩りが多いのだ。どうにかしてやつらを止めてくれないか?」
「獣狩りってことはそいつらは猫以外も狩っているんですね?」
「ああ、そうだ」
「それは許せませんね。やつらのアジトや人数は分かりますか?」
「日に日に増えているから正確な数は分からない」
「だいたいでいいです」
「……もうすぐ一億人になりそうだ」
「……多いですね」
「動物がいる限り永久に稼げるからな。一度やったらやめられないのだろう」
「そうですか。では、十二人になるまで数を減らします」
「そんなことできるのか?」
「可能です。不慮の事故や報酬の独占はよくあることですから」
「そ、そうか。では、頼んだぞ」
「はい」
僕は僕の分身たちにこのことを伝えると全員スイッチが入った。まあ、そうなるよね。だって、全員僕なんだから。
翌日、獣狩りは激減した。
「星の王よ、仕事が早すぎないか?」
「そうですか? これでもゆっくりやった方なのですが」
「そうか。では、お礼にこれをやろう」
「何です? これ」
「我の力が込められているお守りだ。これがあればいつでも動物の国に入れるぞ」
「パスポートみたいなものですか?」
「まあ、そうだな」
「なるほど。ありがとうございます」
「うむ、では、またな」
「はい」




