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沼御前

 沼御前神社。福島県のとある町にあるこの神社には沼御前という妖怪が祀られている。


「退治屋さん、早くここから逃げて」


「湖の精霊か。忠告はありがたいがこれは仕事だから何もせずに帰るわけにはいかないんだよ」


「……そう。じゃあね、退治屋さん」


「じゃあね……か。はぁ……なんか不安になってきたな。いや! 俺ならできる! 絶対できる! 沼御前なんか怖くないぞー!! さぁ! 沼御前! 姿を現せー!!」


 俺が沼に向かってそう言い放った直後、俺の両腕が宙を舞っていた。


「う、う、うわあああああああ!! お、俺の腕がー!!」


「弱い、弱すぎる。お前では相手にならん。死にたくなければ、とっととここから立ち去れ!!」


「おおお、お前は! ぬぬ、ぬぬぬ、沼御前!!」


「どうした? 腰が抜けて動けないのか? では、私があの世に送ってやろう!!」


「ひ、ひえええええ! お、お助けー!!」


「沼御前姉さん、もうそのへんにしといてあげなよ」


雅人まさとか……」


「うん、そうだよ」


 な、なんだ? こいつ。どこから現れた?


「ねえ、姉さん。こいつのこと見逃してくれないかな?」


「そいつは私のエサだ。故に見逃すことはできない」


「そっか。じゃあ、姉さんを地獄送りにするね」


「本気か?」


「開け、地獄の門」


「あー! 分かった! 分かったから! その門を今すぐ閉じてくれ!!」


「ありがとう、姉さん。そこの人、もう帰っていいよ」


「え? あっ、はい、分かりました。じゃあ、失礼します」


雅人まさとに礼を言ってから帰れ! 雅人まさとが来なければお前は今頃死んでいたのだぞ!!」


「は、はいー! あ、あの、助かりました、ありがとうございます」


「どういたしまして。気をつけて帰るんだよ」


「は、はいー!!」


雅人まさとよ」


「ん? なあに?」


「強くなったな」


「そうかな? まあ、色々あったからね」


「そうか。夏樹なつきは元気にしているか?」


「うん、元気だよ。常にはしゃいでる犬みたいだよ」


「そうか。おっと、誰か来るな。雅人まさとよ、無理はするなよ」


「うん、分かった。またね、姉さん」


「ああ、またな」

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