表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1493/1941

金目の金目鯛

 金目の金目鯛を捕まえてとある研究所に届けると百兆円もらえるらしい。しかし、それは海にはいない。それは夜の森で暮らしている。


「あっ、金目の金目鯛だ」


「み、見つかっちゃった! 逃げろー!」


「待って。僕は君を助けに来たんだ」


「そうなの?」


「ああ、そうだよ。えーっと、とりあえずうちまで来てもらえないかな? もうすぐ人間たちがここにやってくるから」


「あなたは人間じゃないの?」


「体は人間だけど本体は人間じゃないよ。うーん、これだと分かりにくいな。星の王と言えば分かるかな?」


「あー! 星の王か! それならそうと早く言ってくれればいいのに」


 星の王の知名度すごいな。


「ごめんごめん。じゃあ、行こうか」


「うん!」


 どうやら金目の金目鯛はとある研究所で生み出された生き物らしい。空中を泳ぎながら周囲の光を体内に取り込み、それを常時目から出しているから金目に見える。海底や宇宙での探索が主な任務だそうなのだがこの個体はそれが嫌で逃げ出してきたらしい。まあ、自由時間や休日が一切ないらしいから逃げ出したくなる気持ちはよく分かる。


「でも、何も言わずに脱走するのはよくないと思うぞ」


「だよねー。じゃあ、今から電話するよ」


「いいのか? 多分君はこれからずっと働かされるぞ」


「そのへんは交渉してなんとかするよ。向こうはやろうと思えば巨大化して地球を噛み砕けること知ってるからね」


「そうか。じゃあ、もう寝ていいかな?」


「うん、いいよ。おやすみ」


「ありがとう。じゃあ、おやすみ」


 次の日の朝、金目の金目鯛はうちに住むことになった。理由は研究所にいるはずの金目鯛たちが昨日全員脱走したからだそうだ。近々他の金目鯛もうちに来るそうなので彼らの部屋を作る必要がある。入居日(明日か明後日)までに作れるかな? まあ、なんとかなるだろう。


「えーっと、僕は入居日に宇宙のどこかにいる金目鯛たちを迎えに行けばいいのかな?」


「うん」


「えーっと、みんな一箇所にまとまってるのかな?」


「ううん、全員違う場所にいるよ」


「そうか。分かった。じゃあ、当日までに分身を少し増やしておくね」


「よろしくー」


 リビングにあるソファの上で家出中の白猫がよだれを垂らしている。おいおい……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ