あたしの知人というか知鬼の話よ
とある女が花屋の男に惚れた。しかし、女が求婚する前に男は別の女と結婚してしまった。ショックを受けた女はビルの屋上から飛び降り、自害した。
数年後、二人の間に子どもが生まれた。かわいい女の子だ。しかし、二人の子どもは一歳の誕生日を迎えた次の日に死んでしまった。その日は例の女の命日であり、例の女が鬼女になった日でもあった。そう、彼女は二人の子どもを呪い殺したのだ。
「お兄ちゃん、この話の続きはないの?」
「これは鬼姫から聞いた話だからなー。知っているのは鬼姫だけだよ」
「ふーん、そうなんだ」
「呼んだー?」
「いや、呼んでないけど。まあ、噂をすればなんとやらだな。鬼姫、夏樹に例の鬼女の話をしてやってくれないか?」
「えーっと、どの鬼女の話?」
「花屋の男に惚れた鬼女の話だよ」
「そうそう」
「あー、アレね。アレはねー、二人の子どもが生まれる度に呪い殺してたら妻が実家に帰って夫はホームレスになった。で、鬼女は彼が死ぬまでずーっと彼のそばにいたって話よ」
「へえ、そうなんだ」
「うん」
「ちなみにそれは実話か?」
「ええ、そうよ。あたしの知人というか知鬼の話よ」
「へえ」
「それで? その鬼は今どこで何してるの? 知ってたらでいいから教えて」
「仲間を増やしてるわよ」
「ん? それってもしかして自分と同じような目に遭った人を鬼にしてるってことか?」
「まあ、そうなるわね」
「そうなのかー。ちなみにその鬼は強いのか?」
「まあまあ強いわよ。いろんな呪いのかけ方知ってるから」
「そっかー。でも、お前の言霊の力の方が強いだろ」
「まあねー」




