人の子よ、頼むから休んでくれ
世界各地で眠ったまま目を覚まさない奇病が流行っている。原因は不明。予兆などはなく年齢、性別問わずなる時はなる。
「人の子よ、頼むから休んでくれ。よし、これでよし」
「おい、ヒュプノス。どうしてこんなことをするんだ?」
「何のことだ?」
「惚けるな。お前なんだろ? 奇病の原因」
「私はただ将来過労死する者たちを眠らせているだけだ」
「そうか。でも、それは一時凌ぎだ。どうにかして職場を良くしないといけない」
「『黒きもの』がある限り不可能だ」
「それはブラック企業のことか? うーん、そうだなー。誰かがサボると誰かに皺寄せが行くからなー。一番効果的なのは僕が仕事を全部終わらせることなんだけど、それだとリストラされる人が増えるんだよなー」
「睡眠時間を削るな。早く寝ろ。明日できることは明日やれ」
「どうした? 急に」
「今のは人間たちに言ってやりたい言葉のほんの一部だ」
「そうか。うーん、とりあえず世界中にアイマスク支給しようかな。ただで」
「妙案だな。ぜひ私にもやらせてくれ」
「分かった。で? 何個くらい配りたいんだ?」
「とりあえず十億個ほど配りたい」
「オッケー。はい、どうぞ」
「ありがとう。では、手分けして配ろう」
「そうだな」




