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猫って

 白猫は幼い頃、そのものになりたいと願っていました。

 しかし、彼女は殺人鬼でした。

 たくさん、たくさん人を殺していました。

 自分の縄張りを荒らされたのが原因です。

 短気?

 そう思えるのは、あなたがまだ自分の領域を誰かに荒らされていないからです。

 一度、その領域を荒らされたら誰だって怒り狂います。

 白猫は妖怪でありながら人と共存しようとしていた彼女に会いたいと思っていました。

 しかし、彼女は封印されてしまいました。

 妖怪は怖いもの。

 けれど、人間たちが彼らの縄張りを荒らさなければ、そんな事件は起こらなかった。

 だから、人と妖怪は少しずつお互いの距離感をせばめつつ、お互いの深いところには侵入させないようにしている。

 そんな現実が嫌で、白猫は家を出た。


「……う……うーん……」


「あっ、起きた」


 た、たしか私は気を失って……。

 白猫はずっと会いたかった人に抱っこされていることに気づくと、その場で大きくジャンプした。

 白猫は彼女から離れると、土下座をした。


「も、も、も、も、申し訳ありません! あなたのような方に私のような毛のかたまりが近づくことは本来許されていないというのに!」


「あー、そういうのいいわよ。あんたはしゃべれる猫であたしは……ちょっと訳ありの鬼。ただ、それだけなんだから」


 というか、この猫、どうしてあたしのこと知ってるの?


「わ、分かりました! では、その……わ、私とお、お、お、おと、お友達に……!」


「友達というか、あんたはこの家の住人……というか、住猫ペットみたいなものでしょ? あー、それともうそろそろ頭上げてくれない? 可愛い顔、見えないから」


 か、か、か、可愛い!?

 この私が!?


「わ、私は可愛い……ですか?」


「猫って、可愛い生き物じゃないの? まあ、それは置いていて。あんた、どうしてあたしのこと知ってるの? あたし、今人間の体の中にいるのよ? 会ったことがあるなら分かるけど面識がないのに、あたしだってことが分かったってことは、あたしの知ってるやつの知り合いだったりするの?」


 えっと、それは……。


「そ、それはですね……」


 白猫は時々、舌を噛みながらも詳細を彼女に話した。

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