私は生きている。だから、お前も生きろ
初代宇宙怪盗と共に放った一撃は『邪悪な宝箱』の邪悪を消滅させた。
「少年、君に頼みがある」
「何ですか?」
「やつを救ってくれ」
「救う? 倒すじゃなくて?」
「やつは『絶望のかけら』だが元からそうだったわけではない。『絶望の粒子』がやつをおかしくさせてしまったんだ」
バ○キン草とかデ○ルスプリンターみたいなものか。
「なるほど。じゃあ、今日からうちで保護します」
「そうしてもらえると助かる」
僕は元『邪悪な宝箱』に手を差し伸べる。
「……大丈夫、怖くないよ。ほら、おいで」
「……グゥ」
「よしよし、今までよく頑張ったな。もう大丈夫だ。さぁ、僕と一緒に新天地に向かおう」
「グゥー」
星の王よ、君には『絶望』を『希望』に変える力がある。故に『絶望』は君を倒そうとするのだ。だが、君はただの『希望のかけら』ではない。たくさんの人に支えられ、支持され、そして愛されている。正直、羨ましいよ。昔の私が今の私を見たらきっと幻滅するだろうが、私はそれで構わない。私は私が選んだ道を進んでいるのだから。
「『邪悪な宝箱』……いや、これからは『善良な宝箱』だな。少年、それがまた邪悪に染まらないように守ってやってくれ」
「はい、分かりました」
「よろしい。あっ、そうそう、君にはこれからも『絶望』を救ってもらいたいのがどうかな?」
「やります。いや、やらせてください」
「ありがとう。だが、植物の力はもう使うな。アレを使いこなすには『希望のかけら』が最低でも三つは必要だ」
「そうですか。分かりました。でも、今日現れた個体より強い個体が現れたらどうします?」
「その時は私や他のみんなと一緒に救えばいいのよ」
「『はじまりの針女』の言う通りだ。一人でやるより二人以上でやる方が成功率は上がるからな。では、私はこれで」
「待ってください。ミスティーに自分が無事であることを伝えないんですか?」
「うーむ、そうだなー。では、これだけ伝えてくれ。『私は生きている。だから、お前も生きろ』以上だ。じゃ!!」
「……行っちゃった」
「あいつ、結構多忙だからねー。さぁ、早く家に帰りましょう」
「ああ、そうだな」




