あらあら、厄介なのが来るわね
雅人が『希望のかけら』だと自覚した直後、彼を排除しようと『邪悪な宝箱』が暴走を始めた。それは初代宇宙怪盗と共にブラックホールボールに閉じ込められ、別の宇宙に飛ばされている。しかし、『絶望のかけら』であるそれは本能的に『希望のかけら』の居場所を特定できる。つまり、もうすぐ『邪悪な宝箱』が地球にやってくるのである。
「……あらあら、厄介なのが来るわね」
「厄介なの?」
「やつだ! やつがくる!!」
「どうしたんだよ、ミスティー。そんなに慌てて。というか、僕の部屋の扉、半壊させるなよ」
「そんなこと今はどうでもいい! 星の王! 早く覚醒して『邪悪な宝箱』を倒せるようになってくれ!!」
「いきなりそんなこと言われても無理だよ」
「そこをなんとか! このままだとこの宇宙は滅びてしまうんだ! だから!!」
「うーん、じゃあ、今ある力でなんとかしてみるよ」
「できるのか!!」
「分からない。でも、やらないよりかはマシだ」
「そうね。あっ、私はこの体を使ってあなたのサポートをするわ」
「な、なあ、星の王、彼女とはどういう関係なんだ?」
「義理の母……だということがさっき分かった」
「義理の母!? 『はじまりの針女』が義理の母!!」
「ええ、そうよ。何? ダメなの?」
「いえ! ダメじゃないです! あなたが味方だと心強いです!」
「えっとー、私は雅人とこの体の持ち主である夏樹の味方だからー、二人がこの宇宙いらないって言ったら躊躇なく消すわよ?」
「そうならないように頑張ります!!」
「そう。じゃあ、さっさとアレを倒しに行きましょう」
「そうだな」
「え? 今からですか? まだ何も準備していませんよ?」
「私たちの準備ならとっくにできてるわ。あとはあなたの準備だけよ。いい? あなたは私と雅人がアレを倒すまでこの星を全力で守りなさい。できなかったら、私はあなたを一生恨むわ」
「お任せください! 死んでも守りきります!!」
「よろしい。じゃあ、行きましょうか」
「ああ」
星の王がそう言うとお二人は宇宙めがけて飛び立った。
「必ず! 必ず帰ってきてくださいねー!!」
ああ……今すぐ逃げ出したい。でも、そんなことしたら一生恨まれる。よし! 私は私のできることをしよう!!
「師匠! 技を借ります! 『フルムーンインビジブルバリア』!!」




