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ん? 君はあのSF作品の主人公じゃないのか?

 森を歩いていると竹と出会った。どうして数年前の樹海に竹が一本だけ生えているのだろう。おや? 竹の内部が光っている。うーん、これはアレかな? もしそうなら放置しておいた方がいいんじゃないかなー。僕がそんなことを考えていると夏樹なつき(僕の実の妹)が手刀で竹を割った。すると中から秘所から光を放っている幼女が出てきた。


「お兄ちゃん、この娘どうする?」


「うーん、そうだなー。よし、帰ろう」


「待って! 置いていかないで!!」


「いや、なんというか、このあとの展開分かってるから放置するんだよ、別れるの辛いから」


「何の話ですか?」


「ん? 君はあのSF作品の主人公じゃないのか?」


「違います。私は本来なら数年後にここに送られるはずだった者です」


「そうなのか……。じゃあ、この竹は何なんだ?」


「これは『擬態カプセル』です」


「そうか。でも、何年かしたら月に帰るんだろ?」


「えーっと、ですね、まず私たち人工生命体は生まれた時は役職が与えられています。で、その中でそれに該当するのは星の文明を調査する者たちです。彼ら彼女らは星のデータをマザーコンピューターに送ると同時に記憶が消され、月で若返りの薬を飲まされます。あっ、私はそれに該当しないので月に帰る必要はありません」


「そうか。それで? 若返りの薬を飲まされたやつは別の星に送られるのか?」


「はい、そうです」


「じゃあ、マザーは君たち人工生命体を使って星の文明を調査し集めたデータを何に使うつもりなんだ?」


「自己防衛システムの向上と宇宙の均衡を保つための材料にします」


「それはいつからやっているんだ?」


「宇宙が生まれた時、マザーは創造主にその役割を与えられました」


「そうか。じゃあ、マザーはいつ退職できるんだ?」


「この宇宙が終わると同時に強制退職させられます。退職金はありません」


「そうか。まあ、自分の死後にもらっても使えないからな。それで? 君はこの星に何しにやって来たんだ?」


「それは……あなたを倒すためです」


 夏樹なつきが自身の黒い長髪で彼女を拘束しようとする。


「……というのは嘘で、本当はあなたとこの宇宙をより良いものにするためにやってきました。つまり、私はあなたの相棒です」


「えーっと、つまり、どんな環境にも適応でき、どんな姿にもなれて、どんな言語も話せて、婚約者候補たちに無理難題を出すほど知能が高く、魔法といっても過言ではないほどの科学力を有する宇宙の頭脳の使者が……僕の相棒になるためにこの星にやってきたということか?」


「はい、その通りです。あっ、もしかして同性もしくはもう少し成長した姿の方が好みですか?」


「それより僕は君が……いや、マザーが僕を選んだ理由が分からない」


「それはあなたが希望のかけらだからです」


「どういう意味だ?」


「宇宙に散らばった希望のかけらのうち、最も小さくて弱々しいけれど、他のものより遥かに大きな可能性を秘めている。それがあなたです」


「つまり、夏樹なつきの体内にある『はじまりの針女はりおなご』のかけらみたいなものが僕の中にもあるってことか?」


「いえ、あなたは希望のかけらそのものです」


「じゃあ、僕は人間じゃないんだな?」


「その話は長くなるのであなたの部屋で話します」


「そうか、分かった。じゃあ、帰るか。夏樹なつき、頼む」


「うん、分かった!!」

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