で? あんた、誰?
猿神は満足そうな笑みを浮かべている。
「それでどうかな? こいつ、みんなに会わせても大丈夫かな?」
「うーん、正直微妙だねー。飲み友達としてはまあいいかなーって感じだけど、みんなに会わせるのはちょっと……」
「そうかー。まあ、そうだよなー」
どこからか影針が飛んでくる。虎姉は蜘蛛の糸でそれを弾くと針が飛んできた方向に蜘蛛を向かわせた。体内で麻痺毒を生成できる個体だから蜘蛛に噛まれるもしくは糸にほんの少し触れるだけでその場から一歩も動けなくなる。
「こんな蜘蛛一匹でオラを止められると思ったか!!」
「あっ、その蜘蛛潰さない方が……」
「ギャー!」
「あー、もうー、つぶしちゃダメだよー。そいつの体液にも麻痺毒入ってるんだから。で? あんた、誰?」
「ぜ、絶対言わねえ!!」
「早く言った方がいいよー。五分以内にこの解毒薬飲まないと肺とか心臓も動かなくなるから」
「なにー! それを早く言えー! オラはそこの猿神を退治しに来た退治屋だ! おめえたち危害を加えるつもりはねえ!」
「なるほどねー。はい、解毒薬飲んでー」
「ふぅ、助かったー。ありがとう。おい! 猿神! 起きろ!! オラの娘をどこにやった!!」
「うーん、もう食べられないよー」
「こらー! さっさと起きろー!!」
うん、こいつはみんなに会わせない方がいいな。絶対誘拐しようとするから。




