バラすよー
昼休み。雅人が座敷童子に作ってもらった弁当の中身を食べていると、彼の幼馴染が現れた。
「まーさーとくん! 遊びましょう!」
「『と○だち』やめろ」
え? 今の分かるの?
「僕に何か用か? 用がないなら、部室にでも行ったらどうだ?」
「用があるから来たんだよ。それで? その弁当を作ってる子とはうまくいってるの?」
そこまで見抜いてたのか。
さすがは百々目鬼だな。
「羅々。お前は自分から首を突っ込むタイプだから言っておくが、僕はこの弁当を作ってくれているやつと、お前が想像しているような関係にはなってないから、変な噂を流すなよ?」
「そんなことしないよー。というか、そんなことしたら雅人の性癖が……」
おい、ちょっと待て。
「それはいったいどういうものなんだろうなー」
「それはねー、ロリコ……」
アウトー!
「おい! 羅々! お前、僕の頭の中を勝手に覗き見しただろ!」
「さ、さぁ? 私には何のことだかさっぱり分からないよー」
棒読みちゃんより棒読みじゃないか!
「お前な……いくら幼馴染でもやっていいことと悪いことがあるぞ」
「あれ? これって、もしかして私、雅人にめちゃくちゃにされちゃう? きゃー、誰か助けてー。鬼に襲われるー」
こいつ、僕で遊んでるな。
「はぁ……まったく、お前ってやつは。いいよ、今回の件はお前のおかげで解決したようなものだから」
「え? 本当? 怒ってない?」
怒ってはいる。
けど、同時に感謝もしている。
「さぁな。ただ、その……ありがとな。相談に乗ってくれて」
「え? 何? よく聞こえなかったー。もう一回言ってー」
聞こえてないフリをするな!
「誰が言うもんか!!」
「えー、言ってよー。ねえねえ」
彼女は彼の背後に回ると、彼を抱きしめた。
「ちょ、食べにくいから離れろ! あと、暑苦しい!」
「えー、別にいいじゃん。『卵焼き』もーらいっ!」
こ、こいつ!
「いい加減にしろ! あと離せ!」
「えー、やだー。しばらくこうしてないと、みんなにその子のことバラすよー。仮にとはいえ、幼女が彼女なんて知られたら、どうなるのかなー」
く、くそ! 何も言い返せない。
「はぁ……。もう好きにしてくれ」
「うん、そうするー」
彼女は昼休みが終わるまで、ずっと彼を抱きしめていた。
クラスのみんなにとっては、それが日常であるため特に気にしていない。
しかし、違うクラスの子にとってはそうではない。
 




