SOS ドブーン登場
視界に入らないものは見えない。しかし、いつか視界の外から脅威となってあなたの目の前に現れるかもしれない、やつのように。
「フワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!」
やつはドブから現れた。やつは生物が腐ったような悪臭を振り撒きながら海を目指している。政府はこの汚物をドブーンと呼称。さらに政府はやつを自然災害として処理することを決定。ただちに訓練を受けた優秀な人材を現場に派遣した。警察官や消防隊員、自衛隊員などがやつの進行を阻止しようとしたが、やつの体臭のせいで服が溶けてしまう。しかも、やつに近づくと計器が狂ってしまうため火力の高い兵器や武器がほとんど使えない。銃弾や手榴弾などは一応当たるが体表に少し傷をつける程度で致命打にはならない。やつは進みながら家屋や動物を食べ、巨大化していく。やつが海にたどり着くまであと……。
「『浄化』」
「フワー?」
突如としてドブーンが消失。さらにドブーンに破壊または捕食されたはずの家屋や動物たちが元に戻っている。それから数秒後、人々はこの事件のことをきれいさっぱり忘れてしまった。
「そうか、突風でドブまで飛ばされたオバケウミウシが海に戻るためにドブと合体したのか」
「フワーン……」
「謝らなくていいよ。さぁ、海が君のことを待ってるよ」
「フワーン」
オバケウミウシは無事、目的地にたどり着いた。
「元気でなー! また今回みたいなことになったら僕を呼ぶんだぞー!!」
「フワーン!!」
オバケウミウシは元気よく返事をしながらゆっくり帰省した。




