卵が孵るまであと……?時間
家に帰るとマスコミが来ていた。どうやら例の隕石の映像が拡散されていたらしく、その時屋上にいた僕や夏樹(僕の実の妹)に色々と話を聞きたいらしい。
「例の二人が帰ってきたぞー!!」
「あの! 隕石は今あなたが持っているのですか?」
「あの隕石はいったい何なんでしょうか?」
「お二人はなぜあの場にいたんですか?」
「どうやって隕石を静止させたり小さくしたりしたんですか?」
「隕石を博物館や専門家に譲渡した方が我々人類の発展に繋がると思うのですが、そこのところはどうなんでしょうか?」
「となりにいる女子高生は彼女さんですか?」
「きれいな黒髪ですねー。どうやって手入れされてるんですか?」
「隕石を売ったらいくらになると思いますか?」
マスコミはどこにでも現れるし、みんな早口なんだなー。そのスキルもっと他の場所で発揮させればいいのに。僕は今回の一件についての情報と記憶と記録を文字の力で全て『抹消』した。なお覚えていても問題ない者たちの脳には残る仕様にしてある。
「あれ? 私たち何してたんだろう」
「たしかに」
「こんなところにいても時間の無駄だ」
「はぁ……どこかで記事にできそうな事件起きてるといいなー」
マスコミはそのようなことを口にしながら僕たちの家から離れていった。
「ねえ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「お兄ちゃんが今持ってる隕石って卵みたいなものだったりする?」
「まあ、そうだな」
「やっぱり……。というか、アレってどこからやってきたんだろうね」
「さぁな。まあ、疑問は色々あるけど多分今週中にだいたいのことが分かるよ」
「そうなの?」
「断定はできないけど、なんとなくそんな気がするんだよ」
「ふーん、そうなんだ。あっ! 卵が孵ったら私に見せてね!」
「ああ、分かった」
隕石型の卵が孵るまであと……?時間。




