おい、今のって……
うーん、どうして『宇宙の種』は僕の体の中に入ったんだろう。
「星の王よ、今のところ異常はないか?」
「え? あー、うん、まあ、今のところは」
「そうか」
宇宙怪盗ロイヤルミスティーは僕のそばでそわそわしている。
「なあ、僕はこれからどうなるんだ?」
「分からない。だが、いきなり体が爆発する、なんてことは起こらないはずだ。多分、おそらく、きっと」
不安だ……。
「そうか。うーん、とりあえず何か飲んで心を落ち着かせよう」
僕が頭の中であったかい緑茶をイメージすると『宇宙の種』はそれが入っている湯呑みを僕の部屋の机の上に出現させた。
「……おい、今のって……」
「星の王よ、今ので一つ分かったことがある」
「なんだ?」
「『宇宙の種』はお前がイメージしたものをお前に提供し、好感度を上げようとしている」
「えーっと、つまり僕は『宇宙の種』の攻略対象になったってことか?」
「そういうことになるな」
「な、なあ、それって僕が人類滅亡とかイメージしたら」
「その通りになるな」
「ミスティー、今すぐ僕の体内から『宇宙の種』を取り出してくれ」
「できない。『宇宙の種』が飽きるか所有者が死なない限り出ていかない」
「じゃあ、今すぐ僕を殺してくれ」
「無理だ」
「なんでだ?」
「それはお前が星の王だからだ」
「あー、そうだった……。星の王は星が死なない限り死ねないんだった。うーん、じゃあ、飽きるまでイメージしまくるか」
「星の王よ、お前に一つ言っておかなければならないことがある」
「な、なんだ?」
「『宇宙の種』に選ばれると」
「選ばれると?」
「別の宇宙から『宇宙の種』がやってくる」
「何しに来るんだ?」
「『宇宙の種』に選ばれた者がどんな者なのか見に来る」
「じゃあ、もうすぐこの星にやってくるのか?」
「ああ……いや、もう来ている。十、二十……いや、百はいるな」
「逃げてもいいか?」
「無理だ。『宇宙の種』から逃げる術はない」
「そ、そんなー」




