おい! 星の王! 無事か!
僕の幼馴染の家から出た後、僕と夏樹(僕の実の妹)と宇宙怪盗ロイヤルミスティーは帰宅した。その後、僕はミスティーを部屋に呼んだ。
「なあ、ミスティー。さっきの話は本当か?」
「それはアレか? 龍神の加護がなくてもお前はモテるって話か?」
「惜しい、僕が知りたいのは『そういう風に設定されている』の部分だ」
「それかー」
「ああ、それだ」
「うーん、まあ、別に気にしなくていいと思うぞ」
「ミスティー、お前はいったい何を知っているんだ? もしかしてお前は僕が何者なのか知っているんじゃないか?」
「まあ、知ってはいる。だが、私はそれをお前に伝えられない」
「なぜだ?」
「権限がないからだ」
「それはいつ入手できる?」
「え? あー、えーっと、お、お前が死んだ時、かなー?」
「嘘をつくな」
「え?」
「お前は今僕から目を逸らした。つまり、今の発言は嘘だ」
「そ、そんなことは……」
「ほら、また目を逸らした。どうせアレだろ? 僕の心を盗んだら手に入るんだろ? だから、お前は僕に近づいた。違うか?」
「違う。私はお前のことを愛しているから近づいたんだ。あー! 言っちゃった! 恥ずかしい!」
うん、今のは嘘じゃないな。
「そうか。じゃあ、本当の入手方法を教えてくれ」
「それは……言えない」
「そうか。僕にそれを言ったら一生権限が手に入らないんだな」
「ああ」
「そうか。まあ、今はそれだけ分かればいいかな。教えてくれてありがとう、ミスティー」
「どういたしまして」
「あっ、そうだ。なあ、ミスティー」
「なんだ?」
「僕は人間なのか?」
「うーん、容姿以外は人間ではないな」
「そうかー。僕はもうほとんど妖怪なのかー」
「お前を構成しているのは人間、妖怪、鬼、龍神の加護、雷獣、人間の闇、光の一族、星の王、フジツボー、三種の植物の種、それから」
「ストップ! もういいよ。というか、僕ってキメラみたいだな」
「気にするな、この世は全てキメラみたいなものだ」
「そっか。そうだな。じゃあ、晩ごはんの支度するか」
「私に何か手伝えることはないか?」
「え? あー、じゃあ、寝てる娘たちを起こしてきてくれ」
「全員か?」
「ああ、全員だ。ただし、叩き起こすのはダメだ。寝起きが悪くなるから」
「分かった。では、私はこれで」
「ああ」
彼女が僕の部屋から出た直後、僕の目の前に『宇宙の種』が現れた。
「おーい! ミスティー! また大事なもの落としてるぞー!」
僕が部屋から出ようとすると『宇宙の種』が僕の体の中に入った。
「えーっと……これ、追い出そうとしたらダメなやつ?」
「おい! 星の王! 無事か!」
ミスティーは僕の顔を見るとなんとなく察した。
「……あー、その、なんというか、すまない」
「なあ、ミスティー。僕これからどうなるんだ?」
「安心しろ! 死にはしない」
「でも、何か起こるんだろ?」
「うん、まあ、確実に何か起こるな」
「だよなー」
はぁ……どうしてこうなったんだろう……。




