その……そろそろ巣立ちをしてもいいぞ
夕方……僕の家の庭……。
フーリン(フリカムイの雛鳥)、結構成長したなー。自力で飛べるようになったし、体もカラスくらいの大きさになったし、単独で狩りもできるようになった。もう僕が教えられることは何もないな。大空を自由に飛び回るフーリンを見ながら僕はそんなことを考えていた。
「なあ、フーリン」
「ピヨ?」
「その……そろそろ巣立ちしてもいいぞ」
フーリンが僕のそばにシュッと降り立つ。うん、本当に成長したな。これならいつ巣立ちをしても大丈夫だ。
「ピヨ?」
「あー、巣立ちの意味が分からないか。えーっと、まあ、なんというか、この家を出てお前だけで生きていくことを巣立ちっていうんだよ」
「ピヨ!」
「え? この家にずっといたい? うーん、ずっとそのままならいいんだが……」
「ピヨ!」
「え? なら、ずっとこのままでいい? いやいや、いつまでもこんな小さな家にいたらダメだ。この家から出て広い世界で生きていった方がいい……と僕は思っているが、お前はどうだ?」
「ピヨ?」
「えっと、まあ、その、選択肢は色々あるけど決めるのはお前だからお前の好きなようにすればいいって話だ」
「ピヨ!」
フーリンが僕の胸に飛び込む。
「フーリン、お前……。そうか、ずっとここにいたいのか」
「ピヨ!」
「そうかそうか。となると、お前が住める家を作らないといけないな」
「ピヨ!」
「え? 自分で作りたい?」
「ピヨ!」
「自分の家くらい自分で作れる……か。そうか。まあ、お前は一応鳥だからな。家作るのは得意だよな。よし、じゃあ、作るか!」
「ピヨ!!」




