甘い罠 二度寝ちゃん登場
あー、目覚まし鳴ってる。でも、起きたくない。布団から出たくない。というか、今日はなんか学校行きたくない。
「二度寝しちゃえ♡」
「二度寝かー。うーん、でも、そろそろ起きないと本当に遅刻しちゃうからなー」
「ダメダメ! 休める時に休まないと死んじゃうよ! だから、ね? 二度寝しよう」
「うーん、じゃあ、あと五分」
「そうそう、それでいいんだよ。さぁ、目を閉じて。はい、おやすみー」
「……おやすみー」
人間ってホント不思議。どうして朝早く起きる習慣を身につけさせようとするんだろう。起きたい時に起きればいいのに。
「二度寝ちゃん、程々にしないと退治屋とかに目をつけられるよ」
「あっ! 雅人! 久しぶりー! あっ、星の王って呼んだ方がいい?」
なんで知ってるんだ……誰かに言いふらしてないのに。
「いや、雅人でいいよ。それより早くここから離れた方がいいよ。少年の母親がもうすぐここに来るから」
「教えてくれてありがとう! お礼にチューしてあげよっか?」
「夏樹に刺される覚悟があるのならしてもいいぞ」
「夏樹ちゃん、まだブラコン治ってないの? 重症だねー」
「アレは多分僕が死んでも治らないよ」
「そっかー。いつか兄離れできるといいね」
「そのいつかがいつになることやら」
「だねー。よし、じゃあ、私そろそろ行くね」
「ああ、またな」
「うん!」
二度寝ちゃんは明るい笑顔を僕に見せるとその場からいなくなった。さてと、じゃあ、そろそろ学校行くか。
「ひろしー! 起きなさーい! 遅刻するわよー!!」
「……はーい」
あれ? なんかさっき話し声が聞こえたような気がする。気のせいかな?
「ふわあ……あー、よく寝た。よし、学校行こう」




