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今日から常時お兄ちゃんを食べられるのかー

 お兄ちゃんのお兄ちゃん、もう十回くらい天国に行ってるのにすっごく元気ー。ありがとう、クズの種とサボテンの種とミントの種。でも、お兄ちゃんの理性はカッチカチだから全然襲ってくれないんだよねー。


「ねえ、お兄ちゃん。私の体、使うー?」


「いや、いい。多分あと二十回くらいで終わるから」


「りょーかーい」


 普通の男子はどれくらいできるんだろう。まあ、お兄ちゃん以下だってことは分かるけど。浴室の中から溢れ出てるお兄ちゃんの香りを嗅いでると体が疼くなー。ああ、お兄ちゃんと合体したい。そしてお兄ちゃんのフレンチドレッシングで私を真っ白に染めてほしい。


夏樹なつきー」


「なあにー?」


「お前は先に寝てていいぞー」


「今日はお兄ちゃんと一緒に寝たいからまだ寝ないよー」


「そうかー。じゃあ、もう少し待っててくれー」


「分かったー」


 それから五分後、お兄ちゃんは浴室から出てきた。


「もういいの?」


「今日はもう大丈夫だ」


「ふーん、そうなんだ。で? 明日からはどうするの?」


「うーん、そうだなー。生命力を霊力に変換してキューに食べさせようかな」


「私が食べる!」


「え?」


「お兄ちゃんのフレンチドレッシング……じゃなくてお兄ちゃんの生命力、私が食べる!!」


夏樹なつき、お前は今も例の三種の植物の種の繁殖力を霊力に変換したものを食べている。そうだな?」


「私の食欲は無限だから大丈夫だよ!」


「いや、いつ限界に達するか分からないから生命力はキューに食べさせる」


「やだ! やだ! やだ! お兄ちゃんの生命力も私が食べる!!」


「……お前は嫌じゃないか?」


「え? 何が?」


「その……僕の血を常時飲んでるようなものなんだぞ? 嫌じゃないのか?」


「全然嫌じゃないよ。というか、好き! 大好き! ということで早くちょーだい!!」


「わ、分かった。じゃあ、始めるぞ」


「うん♡」


「はい、始まった」


「あー、おいしい。お兄ちゃんの生命力おいしい。これならいくらでも食べられるよー」


「そ、そうか。なら、いいんだが」


 夏樹なつきが普通の二口女じゃないことは前から知っていたが、これはちょっとおかしいな。夏樹なつきが食べたものって全部夏樹の霊力になってるのかな?


「どうしたの? 考え事?」


「まあな」


「そっか。あっ! 分かった! 私を襲いたくな」


「ならない」


「違ったかー。じゃあ、何なの?」


「いや、お前が食べたものがどこに行ってるのか気になってな」


「たまにお母さんの方に行ってるよ」


「え? そうなのか?」


「うん。なんかねー、二口女は生まれた時から自分以外の二口女と見えない糸みたいなもので繋がってるんだってー」


「それは自分とそれ以外とってことか?」


「生まれた時に親が指定するみたいだから多分数人だと思う」


「そうか。ん? ということは母さんも食べてる可能性があるのか」


「繁殖力を霊力に変換したやつと生命力を霊力に変換したやつ、どっちも味見してたよー」


「そうか。ということはこっちの事情知ってるんだな」


「だろうねー」


「そうか……。まあ、いいや。よし、今日は寝よう」


「そうしよう! そうしよう!」


 そっかー、今日から常時お兄ちゃんを食べられるのかー。あー、生きててよかったー。お母さん、私たちを産んでくれてありがとう。

 同時刻、二人の母は満面の笑みを浮かべていた。息子の霊力を食べるのは今回が初めてではないが、成長した息子の霊力は彼女の心身を少しだけ満足させた。その証拠に彼女の体は少し前よりずっと魅力的になっている。


「二人とも大好き! 最高!! あー、生きててよかったー」


 その一部始終を見ていた二人の父はにっこり笑っていた。

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