クズの種とサボテンの種とミントの種
深夜、クズの妖精が僕の部屋にやってきた。
「なあ、あたしの力欲しくないか?」
「いや、別に」
「まあまあ、そう言わずに。ちょっとだけ試してくれよー」
「ずるーい、私も私もー」
「げっ! サボテンの妖精! お前、どこから湧いて出た!?」
「さぁ? どこからだろうねー。それより私の力使ってみてよー」
「ごめん、別にいらない」
「まあまあ、そう言わずに。手を握るだけでいいからさー」
「いけません!!」
「げっ! ミント!!」
「あー、ミントちゃんだー。ミントちゃんは今日もかわいいねー」
「え? あー、ありがとうございます。それよりこんな夜中に何をやっているのですか! 星の王を睡眠不足にするつもりですか!!」
「違うよー。この家にただで泊めてもらってるから何かお礼がしたいだけだよー」
「あたしもだ」
「そうですか。けれど、お二人は無理やり星の王に自分たちの力を使わせようとしていましたよね?」
「いや、そんなことはねえよ。なあ? サボテン」
「うんうん」
「ミントちゃん、もういいよ。僕は二人に何もされてないよ、まだ」
「おーい、なんか一言多いぞー」
「多いぞー」
「二人とも! さっさと寝なさーい!!」
ミントちゃんの口から何か飛び出る。僕がそれを手で受け止めるとそれは僕の体の中に入っていった。
「な、なあ、今のってまさか……」
「あー! 私はなんてことを!! これは切腹ものです!!」
「あーあ、やらかしたー」
「やらかしたー」
「えっと、どういうことだ? まさかあの種って人体でも発芽するのか?」
「します! そして全身からミントが生えるようになります!!」
「そうか。うーん、じゃあ、ミントの繁殖力を霊力に変換して定期的に夏樹に食べさせるか」
「お兄ちゃーん! 呼んだー!!」
「夏樹、まだ起きてたのか」
「まあねー」
「えっと、ミントの件、了承してくれるか?」
「オッケー! いくらでも食べるよー」
「ありがとう。ということでクズの妖精とサボテンの妖精の種も僕に渡してくれ」
「だ、大丈夫なのでしょうか? その……もしものことがあったら」
「ミントちゃん、夏樹は特別な二口女だからお腹いっぱいになることはないんだよ」
「そ、そうですか。じゃあ、クズとサボテンの種を渡しますね。ほら、二人とも早く種出してください」
「はいよー」
「はーい」
ミントちゃん(ミントの妖精)はクズとサボテンの種を僕に手渡す。
「ど、どうぞ」
「ありがとう。おー、何もしてないのに僕の体の中に入っていってる」
「ホントだー。あっ、あー、来た来たー。お兄ちゃんの霊力、おいしい」
「よかったな、夏樹。それじゃあ、そろそろ寝るか」
「ああ!」
「うん」
「はい!」
「おやすみ、お兄ちゃん」
「ああ、おやすみ、みんな」
みんなが退室してから数分後、僕の体の一部分が覚醒した。
はぁ……なんで成人向けの作品にありそうな展開になるんだろう。困ったなー。




