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南極だ⭐︎

 なんだ? あの女怪盗は。まあ、いい。さっさと仕事を終わらせて帰ろう。俺が引き金を引こうとすると人差し指がどこかに消えてしまった。


「な、なんだ!? 俺の指、どこに行った!?」


「ここだよ、命を奪うスナイパーくん」


「ど、どうしてターゲットのそばにいるはずの女怪盗がこんなところにいるんだ! というか、俺の指返せよ!!」


「今からこの指を特殊な箱に収納して転送する」


「ど、どこにだ?」


「南極だ⭐︎」


「な、南極だと!! そんなところまで行けるか! 今すぐ返せ!!」


「そうか。では、サメのエサにするとしよう」


「ま、待て! 分かった! 分かったから俺の指を動物のエサにしないでくれ!!」


「分かった。よし、転送しよう。えいっ」


「あー! こいつ、マジでやりやがった!!」


「特殊な箱に収納したから君以外には見つけられないよ。さぁ、とっとと私の前から失せろ! あー、でも、不老不死の呪いをかけられた状態で深海に沈められたいのならここにいてもいいぞ⭐︎」


「さらっと怖いこと言うなー!!」


「ふぅー、終わった終わった」


「お前ってホント色々できるんだな」


「私は宇宙怪盗だからな! これくらいできて当然だ!!」


「そうか。じゃあ、帰るか」


「ああ!」


 宇宙怪盗ロイヤルミスティー。こいつも星の王である僕を殺せるかもしれないな。でも、こいつは僕のハートにしか興味がないんだよなー。


「星の王よ、お前は死にたいのか?」


「違うよ。僕は僕が怖いから何かあった時に誰かに僕を止めてほしいんだよ」


「星の王よ、止めると殺すを同義にするな。私はお前がいなくなったら悲しい」


「その悲しみはいずれ時間が解決してくれるよ」


「心の傷は一生完治しない。古傷となって一生残る」


「……そうだな。でも」


「約束する。私は何があってもお前を殺さない。そして誰にもお前を殺させない」


「そうか。じゃあ、僕が僕じゃなくなったら僕を止めてくれ」


「分かった。その時は全力でお前を止めてみせる」


「宇宙怪盗にそんなことできるのかなー」


「宇宙怪盗は代々不可能を可能にしてきたからなー。なんとかしてみせるよ」


「そうか。分かった。じゃあ、頼んだぞ」


「ああ! 任せておけ!!」

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