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悪夢を終わらせに来た

 いたずらの神のアジト……。


「人間界でいろんな事件起こしてよかったー。慌てふためく神々の顔を見ながら食べるメシはいつもの数十倍うまいよー」


 アジトの扉が何者かに蹴破られる。あれ? おかしいなー。この扉はオレ以外開けられないようにしてあったはずなんだが。


「お前がいたずらの神か?」


「たしかにオレはいたずらするの好きだけど、できれば終わらせる者と呼んでほしいね」


「そんなことどうでもいい。早く僕と戦え」


「オレ、いたずらは好きだけど戦うのは好きじゃないんだよねー。というか、君誰?」


「今のは嘘だな。お前は僕の姿で事件を起こしたりヤマノケの前に現れたりしている」


「正解。それで? 君はどうして僕と戦いたいのー?」


「お前が僕の大切な人たちを不安にさせているからだ」


「えーっと、つまりオレを痛めつけたいってことか?」


「いや、違う。僕は『悪夢を終わらせに来た』だけだ」


「悪夢ねー。うーんと、とりあえずオレのかわいいかわいい子どもたちと戦って勝てたら相手してやるよ。いけ! フェンリル! ヨルムンガンド! ヘル!」


「分かった。来い」


 こいつ、もしかして北欧神話知らないのか? まあ、いいか。


「いけー! オレの子どもたちー!!」


「ガォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


「や、やあー」


「フェンリル、お座り」


「ワン!」


 は?


「ヨルムンガンド、今でもミョルニルを覚えているのなら僕に従え。じゃないと大量のミョルニルがお前に襲いかかるぞ」


「ギシャ!」


 え?


「ヘル」


「ひゃ、ひゃい!!」


「フェンリルに食われたオーディンとスレイプニルを生者に戻してくれたら僕は君を攻撃しないよ」


「はい! 喜んで!! えーい!!」


「ふ、ふざけんなー! お前らオレの子どもだろ!! なんでそんなガキの言うこと聞くんだよー!!」


「さぁ? お前より賢いからじゃないのか?」


「はぁ? それってオレが自分の子どもより賢くないってことか?」


「さぁな。さて、次はお前だ。僕と戦え」


「オ、オレは神だぞ? 強いんだぞ?」


「じゃあ、どうしてお前の足は震えているんだ?」


「こ、これは違う! ただ痙攣してるだけだ!!」


「そうか。じゃあ、行くぞ」


「ま、待て! 来るな! まだ心の準備が!!」


「一撃目」


「……!!」


 が、顔面にもろに入った……!! こいつ、マジだ!!


「二撃目」


「ガハッ!! ま、待て! オレは今、改心した。だから」


「三撃目」


「ウオッ!! 待て! 待ってくれ! 頼む! 殴るのをやめてくれ!! あと数発で確実に死ぬから!!」


「その時はヘルに頼んで生き返らせるだけだ」


「な、なんだよ! なんで少しいたずらしただけでそんなに怒ってるんだよ!!」


「少し? お前が最近起こした事件は数億件あるんだぞ? それがお前の少しなら僕はそれより『少し』多くお前を殴ることにするよ」


「ま、待て! オレが悪かった! 謝るから許してくれ!!」


「許さない。四撃目」


「カハッ!!」


「……たった今僕の分身たちが全ての事件を解決した。だが、お前は僕の……いや、僕たちの気が済むまで苦しむことになる」


「い、嫌だ……死にたく、ない……」


「女に化けても無駄だ。五撃目」


 あー、ダメだ……勝てねえ……というか、死ぬ……。まあ、死んでもまた殺されるんだけどな……。誰かー、助けてくれー。


「……五億八千百二十万撃目」


「……お兄ちゃん」


「……死んだか。ヘル、頼む」


「お兄ちゃん、もういいよ」


「まだだ」


「お兄ちゃん!!」


夏樹なつき、離れてろ。返り血浴びるぞ」


「ねえ、お兄ちゃん。もう帰ろう。そいつ、とっくの昔に身も心も再起不能になってるよ」


「ダメだ。こいつは神だから数日あれば元に戻る。だから」


「そうならないように私が呪いをかけておくから……ね?」


「お前がそれで良くても他のみんなは」


「みんな、お兄ちゃんの帰りを待ってるよ。いくらこのアジトの千年が現実の一秒でもそろそろ帰らないと今日の晩ごはんお通夜になっちゃうよ」


「……六億殴ったら帰る」


「分かった。じゃあ、そのあと呪いかけておくね」


「ああ」


 *


「おかえりなさい」


童子わらこ、もう大丈夫なのか?」


「……バカ」


「え?」


「あなたがあんなことしなくても私は数時間でいつもの私に戻れますよ」


「嫌なんだよ、僕の近くで誰かが辛そうにしてるのをただ見てるだけなのは」


「そう、でしたね。あなたはそういう人でしたね。よしよし、えらいえらい」


「僕にあまり触らない方がいい。僕は」


「私は神を殺したくらいであなたを嫌いになったりしませんよ。さぁ、一緒に晩ごはんを食べましょう」


「分かった。そうする」


「よろしい」


 いたずらの神は何かをしようとするかつ何かをすると死ぬ呪いを夏樹なつき(僕の実の妹)にかけられた。フェンリルとヨルムンガンドとヘルはうちに住むことになった。うーん、なんか日に日に戦力過多になっていくなー。

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