出身は?
宇宙怪盗ロイヤルミスティー。彼女は今、リビングで夏樹(僕の実の妹)に睨まれている。
「どうした? 私の顔に何かついているか?」
「出身は?」
「え?」
「出身はどこだ?」
「私は初代宇宙怪盗に拾われる前の記憶がないからなー。だから君に教えられる情報はほとんどないんだよ」
「そうか。じゃあ、とりあえずお前の全力を私にぶつけてみろ」
「私は盗むのは得意だが戦うのは苦手なんだ。だから」
「嘘をつくな。お前、太陽で寝泊まりしてるんだろ?」
「え? あー、まあ、そうだな」
「そんなやつが弱いわけないだろう!!」
「それは強さと関係あるのか?」
「何?」
「例えば、私たちは生まれる前にすでにバトルロイヤルを勝ち抜いている。つまり、この世に生まれた時点で私たちは全員最強なんだよ。それなのに君たちは生まれた後も終わりのないバトルロイヤルをしている。私にはそれが理解できない」
「つまり、最強同士が争うのはおかしいということか?」
「ああ、その通りだ」
「そうか。では、お前に戦う理由を与えてやろう。お兄ちゃん、こっち来て」
「んー? なんだー?」
「ミスティー、お前が私に勝てば一日お兄ちゃんを好きにできるぞ。どうする? 私と戦うか?」
「いや、結構だ。私は宇宙怪盗だから戦利品は受け取らない……いや、受け取れない」
「そうか。分かった。では、今夜お兄ちゃんと一緒に風呂に入れ」
「そ、そんなことできるか! 宇宙怪盗は誰にも正体を明かしてはいけないのだぞ!!」
「断れば、お前は今後一切お兄ちゃんと関わることができなくなるが、それでもいいか?」
「き、君はいったい何がしたいんだ! 私はただ好きな人のそばにいたいだけで……」
「そうか。では、お兄ちゃんに手を出すつもりはないのだな?」
「そ、そんなことするわけないだろう! 私は宇宙怪盗だぞ! 星の王のハートを盗みたいという欲求はあるが、それ以上のことをするつもりはない!!」
「そうか。今のがお前の本音か」
「へ?」
「どうやらお前は肉体言語より少しずつ追い詰めた方がしゃべるタイプのようだな」
「ま、待て。じゃあ、最初から私の本音を聞きたくて私に色々言っていたのか?」
「まあな。ということで、今日からお前はここの住人だ。よろしくな、宇宙怪盗ロイヤルミスティー」
「あ、ああ、こちらこそよろしく」
二人が握手をすると座敷童子の童子が僕のとなりに現れた。
「どうした?」
「少し気になることがありまして」
「気になること?」
「はい。詳細は自室で話します。ここだといろんな人に聞かれますから」
「そうか。分かった。ミスティー」
「な、なんだ? 星の王」
「君が仮面の下に何を隠していても僕は君の前からいなくなったりしないよ。じゃ」
「ほ、星の王は私の正体に気づいているのだろうか」
「さぁ? どうなんだろうね。でも、今の言葉は嘘じゃないよ、きっと」
「そ、そうか」




