宇宙怪盗ロイヤルミスティー
宇宙に出ると地球の周囲に何かあることに気づいた。
黒い箱に見えるけど何かの装置のようにも見える。それが地球の周囲に等間隔で設置……いや、地球を追尾するように設定されている。
「これはいったい誰の仕業だ?」
「それはこの私、宇宙怪盗ロイヤルミスティーの仕業だー!」
「お、おう。で? 何を盗みに来たんだ?」
「君のハートさ」
「そうか。じゃあ、今から心臓コピーするからそれを持って帰ってくれ」
「待て待て待て待てー!!」
「なんだよ、欲しいんだろ? 僕の心臓」
「ちっがーう! 私が欲しいのは君の心だー!!」
「なら、こんなことせずに直接僕の家に来いよ」
「それはできない!!」
「どうしてだ?」
「そ、それはその……私が小心者だからだ」
「嘘だな。小心者に宇宙怪盗なんてできるわけがない」
「ほ、本当なんだ! 私はこの姿になっても好きな人の家に直接行って思いを伝えられないほど臆病なんだ!! あっ」
「えーっと、今のは聞かなかったことにした方がいいのか?」
「そうしてもらえると助かる」
「そうか。隊長さん、他の宇宙ペンギンにこのことを伝えてくれ。あー、この現象の原因だけでいいから」
「ギィ!!」
「ありがとう」
「ほうほう、星の王は宇宙ペンギンと仲良しっと」
「メモしなくていいぞー。で? あんたはこれからどうするんだ?」
「そ、そうだなー。できれば、今すぐ君のハートを盗みたいがこういうのは時間をかけた方が確実に手に入るからなー」
「そうか。がんばれー」
「待て! まだ話は終わっていないぞ!!」
「なんだよ。というか、早く装置止めろよ」
「止め方は知らん! 私は自称親切な神の指示に従って装置を起動しただけなのだから!!」
「そうか。じゃあ、破壊するか」
「壊すなんてもったいない! どうにかして装置を停止させてくれ!!」
「停止させたら爆発する機能が付いてたらどうする?」
「安心しろ! 私は普段太陽で寝泊まりしているからその程度では死なん!!」
「そうか。じゃあ、爆発しそうになったらあんたの周囲に装置集めるよ」
「いいとも! さぁ! 早く停止させたまえ!!」
いいのか……。というか、サラッとすごいこと言ったな。
「じゃあ、文字の力で止めるか。『停止』っと。はい、止まった」
「なんだ! 今のは!! いったいどうやったんだ?」
「それは僕じゃなくて童子に訊いてくれ。じゃ」
「待て!」
「なんだよ」
「そ、その……今日から君の家に住んでもいいか?」
「夏樹に……妹に刺される覚悟があるなら住んでもいいぞ」
「宇宙怪盗は死など恐れない! さぁ! 早く帰ろう! 私たちの家に!!」
「あんた、よく今まで生きてこられたな」
「広大な宇宙で生き残るには頭のネジが何本かない方がいいんだよ」
「それ、あんたの自論か?」
「いや、初代宇宙怪盗の言葉だ」
「そうか。えっと、帰ったら今回の出来事をなかったことにするけどいいか?」
「その必要はない。ロイヤルー……ミスティー!! よし、これで今回の出来事はなかったことになったぞ。まあ、私の力が効かない者たちは覚えているがな」
「その……なんというかあんたって色々おかしいよな」
「そうだな! あー、腹が減った。星の王よ、何か作ってくれ」
「大したものは作れないぞ」
「構わん! 君の手料理なら何でもいい!!」
「分かった。じゃあ、肉じゃがにしよう」
「やったあああああああああああああああああああああ!!」
こいつ、めちゃくちゃ元気だな。みんなと仲良くできるかなー?




