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宇宙ペンギン

 宇宙ペンギンたちが帰ってくる!

 三年前、人類が住めそうな星を探しに行った宇宙ペンギン。彼らは人類に友好的でみんなから愛されていた。しかし、彼らは未知のウイルスに感染した状態で帰ってきた。彼らの愛らしい見た目は消え失せ、凶暴かつ残忍な存在へと成り果てた。


「ペンギンさん、こっちにおいで」


『ギィ! ギィ! ギアアアアアアアアアアアアアアア!!』


「誘導ご苦労! 眠れ!!」


 鬼姫ききの言霊の力で宇宙ペンギンたちを強制的に眠らせた後、僕が原因を取り除く。これで宇宙ペンギンたちは元の愛らしい姿に戻る。


「ねえ、雅人まさと。こいつら、何のウイルスに感染してるの?」


「怒りだよ」


「え?」


「本来、宇宙ペンギンにはない怒りの感情。これを何者かに植えつけられたせいで宇宙ペンギンたちはどうやって怒りを発散したらいいのか分からず混乱してるんだと思う」


「ふーん。で? あたしはニュースのアナウンサーとあんた、どっちの言うことを信じればいいの?」


「信じたい方でいいよ」


「分かった。じゃあ、あたしはあんたを信じる。だって、あたしの一番のお気に入りだもん!」


「そうか。おっと、またぞろぞろ来たぞ」


「ホントだー。おーい! こっちにおいでー!!」


 宇宙ペンギンたちの戦闘力は赤子並みで体はバランスボールのように弾力があるだけなのであまり強くはない。しかし、環境適応能力が高いため、基本的にどこでも繁殖できる。故に数だけは多い。


「ふぅ……やっとこの町にいる宇宙ペンギン全員元に戻った。千羽くらいいたな」


「そうねー。あっ、こいつ首にスカーフつけてる」


「え? あー、ホントだ。えーっと、たしか隊長の証だったかな? 隊長さん、いったい何があったんだ?」


 僕は気持ちよさそうに眠っている隊長さんを起こす。


「ギィ! ギィ! ギ、ギギィ!!」


「えーっと、なんて?」


「赤い光線を受けたらこうなった……だってよ」


「ふーん」


「ギィ! ギィ!」


「え? お礼に何かしたいって? じゃあ、世界中にいる宇宙ペンギンたちの耳に鬼姫ききの声が聞こえるようにしてくれ」


「ギィ!」


「なんて?」


「いいとも! だってさ」


「そう。じゃあ、いくわよー!! 眠れー!!」


 これにより宇宙ペンギンたちは全員眠りについた。


「えーっと、あとは宇宙ペンギンたちの怒りを取り除けば終わるな。えいっ」


「え? 今ので終わり? 合掌しただけじゃん」


「終わってるよ。さぁ、帰ろう」


「ギィ! ギィ!」


「あー……なんて?」


「ありがとう! 星の王! だってさ」


「ふーん」


「どういたしましてー、気をつけて帰るんだぞー」


『ギィー!!』


 こうして宇宙ペンギンの一件は片付いた。よし、帰ったら赤い光線について調べよう。

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