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ヤマノケ やまちゃん登場

 とある山の舗装されていない脇道……。

 あっ! 人間さんだ! えーっと、いつものようにお化粧してっと。よし! できた!! うーんと、なんて言いながら近づくんだっけ? あー、そうそう、てんそうづ、だ! よおし、今日も驚かせるぞー!!


「ねえ、何か聞こえない?」


「いや、何も」


「……テン、ソウ、メーツ。テン、ソウ、メーツ」


「ほら! やっぱり何か聞こえるわよ!!」


「こんな夜中にこんなところを歩いてやつなんていないよ。ん?」


「きゃー! 何かこっちに向かってくるー!!」


「なんだ! あれ!! ジ〇ミラか!?」


「たしかに似てるけど、歩き方が違うわ!!」


「う、うーん、そうだったかな? というか、こっち来るな! あっち行けー!!」


 ふふふふ、驚いてる驚いてる。えーっと、あとは助手席の女の子に一定の期間の間「晴れたー」って言うように催眠をかければいいんだよね? よおし、やるぞー! えーい!!


「ふぅ……ここまで来れば大丈夫だろう。おい、大丈夫か? なあ、おい、返事しろよ」


「……れた」


「え?」


「晴れた晴れた晴れた晴れた晴れた晴れた晴れた晴れた」


「こ、これって! まずい! ヤマノケに憑かれてる! 早く追い出さないと!! あっ! そういえば、なんか妖怪とか怪異専門の探偵がいるっていう噂を聞いたことあるな。よし! そいつに頼んでヤマノケを追い出してもらおう!!」


 *


「ヤマノケちゃーん! ヤマノケのやまちゃーん! いたら出ておいでー!!」


「はーい!!」


「うわー! 出たー!」


「やまちゃん、化粧落として。あと声低いままだから元に戻して」


「はーい!!」


 ジ〇ミラっぽい見た目の怪異が化粧を落とし、声を元に戻すと白髪ロングの美幼女になった。


「ということで、土着神のいたずらでした。やまちゃん、彼女の催眠解いてあげて」


「はーい!! えいっ!!」


「晴れた晴れた晴れた……あれ? 私、何してたんだっけ?」


「おー! 元に戻った! ありがとう! 助かったよ!!」


「どういたしまして。やまちゃん、これからは化粧薄めにしてね」


「はーい! ところで……お前、雅人まさとじゃないな? 誰だ?」


「通りすがりのいたずらの神だよ。じゃあねー」


「しぶといやつだ……。あっ! 帰り道分かる?」


「え? あ、ああ、分かるよ。ありがとう」


「そっか。じゃあ、またねー! バイバーイ!!」


「お、おう」


「う、うん」


 一応、雅人まさとに連絡しておくか。いたずらの神がこの国にやってきたことを。

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