狐魔流……おわりの型
狐魔流の絶技は星の王たちの攻撃より軽かった。まあ、なんというかよく頑張っている方だと思う。けど、実戦だったら彼は間違いなく最初の一撃を出す前に倒されている。そう思えるくらい彼の攻撃は軽くそして技を使いこなせていなかった。
「なぜだ! なぜお前は即死級の技をもろにくらっているのにそんなにピンピンしているんだ!!」
「それは君の狐魔流の絶技が僕にダメージを与えられるレベルに達していないからだよ」
「あ、ありえない! これは何かの間違いだ!! 父上! こいつはいったい何者なのですか!!」
「バカ者! このお方はこの星の王なのだぞ!! お前ごときが勝てる相手ではない!!」
「ち、父上……それは本当ですか?」
「私は何度も言おうとした! だが、お前は聞く耳を持たなかった! これは自業自得だ!!」
「そ、そんな……。じゃあ、俺は今まで地球と戦っていたのか……」
「いや、僕は星の王の中だと最弱だからそんなに強くないぞ」
「お、お前が最弱だと? は、ははは、これで最弱って。冗談だろ?」
「いや、本当だ。あー、それと『はじまりの型』があるのなら当然『おわりの型』もあるよな?」
ん? なんか道場にいるやつらが騒ぎ出したぞ。
「お、おわりの型は文字通り戦いを終わらせる技だ。使うと両者のどちらかが死亡する」
「どちらかってことは指定できないのか……まさに諸刃の剣だな。で? どうする? 使うのか? 使わないのか?」
「つ……使うに決まってるだろ!!」
「やめろ! 速人! そんなことをしたらお前は!!」
「父上! こうでもしないとこいつには勝てません! それと母上にお伝えください。あなたの息子はやりきったと」
「や、やめろー! 速人ー! 親より先に逝くなー!!」
父上……母上……たくさんいる弟と妹たち……さらばだ。
「狐魔流……おわりの型……『妖狐の呪爆』!!」
はぁ……仕方ない。この場にいるほぼ全員の願いを叶えてやるか。
「地球拳……解呪の型……『広範囲呪滅拳』!!」
「……ん? なんだ? 俺、生きてるのか?」
「ああ、生きてるよ。それよりお前が死にかけたせいで凛が大泣きしてるから、どうにかして泣き止ませろ」
「え? あ、ああ、分かった。おい、凛大丈夫か?」
「はーくんのバカ! バカ! バカ! なんで死のうとしたの!!」
「いや、ああでもしないとあいつに勝てないと思ったから」
「勝ち負けなんてどうでもいいよ! 私の目の前で死のうとするはーくんなんてだいっきらい!!」
「悪かった……すまない……許してくれ……」
「はーくん、もうあんなことしないでね」
「ああ、もうしないよ、だから」
「はーくん、これからも仲良くしてね!!」
「え? あ、ああ、うん、分かった」
「凛の笑顔はいつ見てもいいよな」
「ああ……って、お前ホントなんで無傷なんだよ! すごいを通り越して怖いぞ!!」
「さぁ? どうしてだろうね。でも、君はまだまだこれからだ。いつか僕を倒せる日が来るといいね」
「嫌味か? 嫌味なのか?」
「いや、別にそんなつもりはないよ。じゃあな、速人」
呼び捨てかよ……。まあ、いいか。
「おう、またな」




