あっ、それは自覚してるのか
ダメだ、どのチャンネルもやってない。
「キュー?」
「いや、別におなかは空いてないよ。でも、もし今この星で起きているのが僕たちだけだとするとこの事件の犯人を特定するのは困難だなって」
「キュー」
「え? とりあえず僕たち以外に起きているやつがいないか検索かけてみろって? それは家に帰った時にやったよ」
「キュー!」
「何? もう一度やってみろって?」
「キュー!」
「え? 犯人が何らかの方法で検索に引っかからないようにしたのかもしれないって? うーん、まあ、その可能性がないとは言い切れないな。よし、じゃあ、もう一度検索してみるよ。検索」
あっ、引っかかった! えーっと、場所は……うちの学校の屋上だな。
「キュー、お前のおかげで犯人の居場所が特定できたよ、ありがとう」
「キュー!」
キューは「どういたしまして」と言った。
「よし、じゃあ、学校に行こうか。うーん、今日は休日だけど一応制服着ていくかな」
「キュー!」
「え? お前も着たいのか? うーん、お前に合うサイズの制服あるかなー?」
「キュー!」
「え? どうしても着たい? しょうがないなー、じゃあ、今から作るからちょっと待ってろ。あっ、男子と女子の制服があるんだけど、どっちがいい?」
「キュー!」
「あー、そうだったな、お前は女子だったな。よし、分かった。じゃあ、女子の制服作るよ」
「キュー!」
キュー(丸みを帯びた黒いサイコロ型の固有空間。なぜか自我がある)は空中でクルクル回転しながら喜んでいる。たまにこいつが固有空間だってこと忘れるんだよな。もう新種の生物でいいんじゃないかな?
「……よし、できたぞ」
「キュー!」
「え? 着せてほしい? えっと、いいのか? 僕に体を触られるんだぞ?」
「キュー」
「え? 気にしないって? キュー、僕以外にそれ言うなよ。まあ、別にいいけど。じゃあ、今から着せるからあんまり動くなよ」
「キュー!」
「うん、いい返事だ。じゃあ、じっとしてろよ」
僕がキューに女子の制服を着せるとキューは空中ではしゃぎ始めた。
「なあ、キュー。お前って本当に固有空間なのか?」
「キュー!」
「あっ、それは自覚してるのか。そうかそうか。じゃあ、学校行くか」
「キュー!!」
「おう、行こう行こう」
こうして僕たちは登校を開始したのであった。




