静かすぎる町
朝、僕が自室のベッドで目を覚ますと家の中が静かすぎることに気づいた。うーん、とりあえず夏樹(僕の実の妹)の部屋に行ってみるか。
「おーい、夏樹ー、起きてるかー?」
返事がない。まだ寝てるのかな?
「鬼姫ー! 童子ー! 虎姉ー! アリシアー! レイナー! ミクラー! 誰でもいいから起きてたら返事してくれー!!」
返事がない。どうやら全員寝ているようだ。
「まあ、今日は休日だからな。もう少し寝かせておこう」
「キュー!」
「おー、キューは起きてたのか。なあ、キュー。みんなを起こした方がいいかな?」
「キュー」
「え? ほっとけ? うーん、まあ、そうだな。そうしよう」
「キュー」
キュー(丸みを帯びている黒いサイコロ型の固有空間。なぜか自我がある)は一階に降りると玄関の扉をすり抜けて外に出ていった。
「さすがに近所の人は起きてるよな?」
僕は階段を降りて玄関に向かうと靴を履いた。今のところ物に異常はないな。僕が玄関の扉を開けて外に出るとそこには倒れている人たちがいた。彼ら彼女らは全員眠っており、全員幸せそうな表情を浮かべている。
「うーん……朝はちゃんときたから星に影響はないみたいだな。ということは生物のみを眠らせたのか」
原因はまだ分からないが、どうやらこの事件を解決できるのは僕とキューだけらしい。
「キュー」
「なんだ? おなか空いたのか? よし、じゃあ、僕が何か作ってやるよ」
「キュー!」
キューは空中でクルクル回転しながら嬉しそうな表情を浮かべている。
「お前っていつも僕のそばにいてくれるよな」
「キュー?」
「いや、なんでもない。なあ、キュー。何食べたい?」
「キュー!」
「そうか。牛丼か。じゃあ、今から作るよ」
「キュー!!」
やったー!! か。お前ってこういう時、ステーキって言わないよな。まあ、別にいいけど。




