ブラッドカーニバル!!
伝説のヴァンパイアハンター『ブラッドキラー』(本名はアン)は対上級吸血鬼用特殊金属『聖銀』でできた武器『セイクリッドハンター』を召喚した。それが闘技場に現れた時、観客席にいる吸血鬼たちはサングラスをかけ始めた。『セイクリッドハンター』が反射する光があまりにも眩しかったからである。
「ほう、それが吸血鬼を瞬殺できる武器か」
「うん、そうだよ」
「そうか。では、我はブラッドドレイン家に伝わる禁呪を使うとしよう!! 非力は罪である。故に我は欲す。欲望の赴くままに」
アリシア・ブラッドドレインが詠唱を始めると観客席にいる吸血鬼たちが苦しみ始めた。すごいな、ブラッドドレイン家の禁呪。まだ詠唱してるだけなのに非力なやつほど苦しんでる。
「我が求めるは力……。この世の始まりから終わりまでの森羅万象に有効な力を我は欲す。さぁ、今こそ覚醒の時だ。休暇は終わり、太陽が顔を出す。重いまぶたを押し上げ、ゆっくりと体を起こせ。身支度を整え、朝食を摂り、部屋を出たらすぐに我の元へ集結せよ。遅刻厳禁! 寝坊は死刑! それが嫌なら我に従え! 禁呪、発動! 『ブラッドカーニバル』!!」
「……なんだ? 結界か?」
「違う。これはただの結界じゃない。これは……」
「ここから出る方法は二つある。一つは我を殺すこと。そしてもう一つはこの会場にいる全員が死ぬことだ!!」
「はぁ? なんだよ! それー! ふざけんなー!」
「そうだそうだ! 早く俺たちをここから出せ!!」
「観客たちよ、お前たちは非力だ。『はじまりの吸血鬼』の恩恵をほとんど受けていないせいで弱点が山のようにある。だが! 今すぐバトルロイヤルに参加し、最後の一人になるまで戦い抜けば『はじまりの吸血鬼』の一部になれる可能性があるのだぞ! お前たちは一生非力でいいのかー! 一生出涸らしの方がマシと言われ続けてもいいのかー! さぁ! 今こそ決断の時だ! 平凡な日常を薙ぎ倒せ! そして今すぐこの場に降りて来い! お前たちの未来をとっとと決めてしまえー!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
まずいな、観客たちが参加したせいで乱戦になってる。まあ、観客全員サングラスつけてるから分かりやすいんだけどな。
「はぁ……面倒なことになった」
「そうだな」
今まで禁呪の解析をしていたアンは僕にアリシアの言った条件以外でこの禁呪から逃れる術はないことを伝えた。
「そうか。それは厄介だな」
「うん。でも、大丈夫。私がやつを殺せば解決するから!!」
そう、なのかな?




