門
最近、行方不明者が増えている。今のところ法則性はない。場所、日時、性別、種族問わずある日突然いなくなる。神隠しなら戻ってくる可能性があるが、今のところ行方不明になった者が帰ってきたという情報はない。
「やっぱこういうのは囮が必要だよなー」
「ねえ、お兄ちゃん。まさかお兄ちゃんが囮になるつもりじゃないよね?」
「まあな。何かあった時、自力でなんとかできないといけないから」
「お兄ちゃん、私も一応それに該当するよ?」
「夏樹、犯人の正体や能力がほぼ分からないから今回は家でおとなしくしててくれ」
「それって、私にもしものことがあったら困るから?」
「そうだ」
「そっか。じゃあ、キョンシー姉妹に護衛させるね」
「あいつらは今、新必殺技を編み出してる真っ最中だからな無理だな」
「じゃあ、鬼姫ちゃんは?」
「虎姉とパトロールしてる」
「童子ちゃんは?」
「隣町のスーパーに行ってる」
「うーん、じゃあ、レイナちゃんは?」
「ミラクルクラゲと一緒に宇宙のノイズを除去してる」
「じゃあ、アリシアちゃんは?」
「呼んだか?」
「おっ、いたのか。なあ、アリシア。ちょっと僕の護衛をしてくれないか?」
「護衛か。いいだろう、このアリシア・ブラッドドレインに任せておけ!!」
「大丈夫かなー」
「一応、吸血鬼だから多分大丈夫だよ」
「そうかなー?」
「なんだ? 我では頼りないのか?」
「…‥少し」
「そうか。なら、こうしよう。我が犯人をどうにかして捕まえてくるからお前はそやつに相応しい罰を与えてやれ」
「分かった」
「よし! では、ゆくぞ! 雅人!!」
「お、おう」
僕たちが家を出てから三歩歩くとどこからともなく門が現れた。僕たちが家に戻ろうとするとそれは僕たちを異界に招き入れた。
「お、お兄ちゃーん!!」
はははは、来るの早すぎだろ……。




