お兄ちゃん! 迎えに来たよ!!
冥府。
「お兄ちゃん! 迎えに来たよ!!」
「迎えって……お前、ここ冥府だぞ? どうやって来たんだ?」
「冥王星の女王を痛めつけたら、泣きながら生きたままここに来られる方法教えてくれたから来られたんだよー」
今サラッとしかも笑顔ですごいこと言ったな。
「そ、そうか。じゃあ、帰るか」
「うん!!」
いい返事だなー。冥王星の女王、五体満足かなー?
「……ただいまー!」
「おかえりなさい」
「ん? なんで母さんがここにいるんだ?」
「あなたが冥府に飛ばされたから来ちゃった⭐︎」
「……仕事は?」
「今日の仕事はもう終わってるから大丈夫よ」
「そうか。でも、もう帰るんだろ?」
「何? 私に甘えたいの?」
「そんなわけないだろ、もう子どもじゃないんだから」
「私から見たらあなたたちはずーっと子どもよ」
「そっか。じゃあ、またな、母さん」
「ええ、またね、雅人、夏樹」
「またねー」
母さん、元気そうだったな。父さんも元気にしてるかな?
「おい、早く立て」
「うー! やーなの! もう痛いのやーなのー!」
「うるさい! 早く立て! そしてお兄ちゃんに謝れ!!」
えーっと、こいつ誰だ?
「なあ、海王星の女王。こいつ、冥王星の女王……なんだよな?」
「まあ、そうですね」
「どうしてこうなったんだ?」
「それはですねー、夏樹さんと母親にコテンパンにされたからです」
「そうか……。夏樹、そいつはもう色々終わってるからそっとしておいてやれ」
「でも! こいつのせいでお兄ちゃんは冥府に飛ばされたんだよ!」
「そんなことどうでもいいよ。プチ旅行みたいで楽しかったから」
「そっか。なら、いいや。よかったねー、許されてー」
「お、お兄さーん! 助けてー! このお姉さん、怖いよー!」
「は? 自業自得だろうが」
「夏樹、お前は先に帰っててくれ」
「はーい」
「おー、よしよし、もう大丈夫だぞー」
「う、うん」
何をされたらこうなるんだ? いや、いい。知りたくない。
「なんというか、パワーバランスが崩壊してませんか? この星」
「言うな。それは星の王になる前から知ってるから」
「そうですか。えっと、その子どうするんです?」
海王星の女王は僕にそう訊ねる。
「保護するしかないな」
「記憶とか戻りますかね?」
「さぁな」
「お兄さんたち何の話してるの?」
「君のこれからのことについてだよ」
「私、これからどうなるの?」
「心配しなくても大丈夫だよ。君は僕が守るから」
「お兄さんが私のこと守ってくれるの?」
「ああ、そうだよ」
「そっかー。やったー……」
あっ、寝た。
「本当にただの幼女になっちゃってますね」
「生きてるだけマシだよ」
「え? 過去に誰か死んでるんですか?」
「過去に自害しようとしたやつらがいたよ。まあ、その時はなんとか間に合ったけど、夏樹は敵だと思ったやつには容赦ないからな……」
「そうですか……。それにしてもよく一緒に暮らせますねー」
「一応、家族だからな。それに僕と夏樹はお互いがお互いを必要としてるから……」
「そうですか。えっと、私戦い放棄したので星に帰れないんですよねー。なのでしばらくあなたの家に泊めてもらえませんか?」
「いいよ。ただうちには訳ありなの多いからあまり刺激しないようにしてくれよ」
「わっかりましたー!」




