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奈落とクリオネの国と友達作り

 えーっと、残りはあと……。


「『奈落へ落ちろ(タルタロス)』」


「え? ちょ!」


 星の王は奇襲好きが多いのかな? まあ、いいや。とりあえず日本のどこかに移動しよう。


「よっと……。えーっと、ここは……クリオネの国? そんな国あったかなー」


「人間だー」


「なんか人間来たー」


「国王様に報告しよう」


 クリオネってしゃべれたっけ? まあ、いいや。


「ほほう、こんなところに人間が来るとは珍しい」


「あなたは?」


「どうもこの国の王です」


「そうですか。はじめまして、僕は」


「星の王……ですよね?」


「なぜそれを?」


「有名ですよー、動植物、菌類、微生物、妖怪、神、天使、悪魔、魔王、精霊、妖精などが知っています」


「人間がほとんど知らないのは情報操作のおかげですかね?」


「そうでしょうなー。それで? どうしてこんなど田舎に来られたのですか?」


「それはですねー」


 僕は国王様に下校中に奈落に落とされそうになったことを伝えた。


「タルタロスですか……。いやあ、あそこは恐ろしいところですよー。地獄の方がまだマシです」


「そうですか。えっと、これから僕を奈落に落とそうとした人物と戦わないといけないのですが、勝算あると思います?」


「うーん、そうですねー。勝てるかどうかはともかく一度奈落に落ちた方がいいと思います」


「なぜですか?」


「奈落に行けば奈落の情報が手に入るからです」


「なるほど。でも、もし一生出られなくなったらどうします?」


「もしそんなことになってもどうにかなると思います。ここにいるクリオネたちやあなたの知人たちのほとんどは世界を敵に回しても日常生活を送れるくらいの力を持っていますから」


「そうですね。じゃあ、一度奈落に落ちてみます」


「決断が早いですねー」


「この星の未来がかかっていますから」


「そうですかー。では、お気をつけて」


「はい」


 僕が奈落に落とされそうになった場所に戻ると僕は完全に奈落に落とされた。もしかして二人きりじゃないと戦えないタイプなのかな?


 *


「よ、ようこそ! 奈落へ!!」


「お、おう」


「わ、私は天王星の女王……です!!」


 内気な幼女は僕を見ながらあたふたしている。なんだ? このかわいい生き物は。


「はじめまして、僕は地球の王だよ」


「し、知ってます! 最弱なんですよね?」


「それ、みんな知ってるの?」


「は、はい!!」


「そうか。で? 君はこれから僕をどうするつもりなの?」


「ど、どうもしません!」


「……えっと、君は僕と戦うために地球に来たんじゃないの?」


「ち、違います!」


「じゃあ、何しに来たの?」


「と、友達を作りに来ました!!」


「……はぁ?」

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