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グラディウス

 火星の女王が槍の先端を天に向ける。


「……『軍神よ進軍せよ(グラディウス)』!!」


 その直後、彼女の周囲に大量のオオカミとキツツキが現れた。さらに彼女の背後に巨大なエネルギーの塊が顕現した。それは槍と盾を装備している勇敢な戦士だった。


「……お前、もしかして軍神マルスの力を使えるのか?」


「当たり前だー!! ゆくぞ! 戦友たち!! この星の王を倒せー!!」


 さすがに数が多いな。よし、とりあえず動きを止めよう。


「『雷獣の咆哮』」


 この声を聞くと大抵の生命は気絶する。しかも対象を指定できる。


「どうした!? 戦友たち!! まさか、あの程度の咆哮で気絶したのか!!」


「そうだよ。さぁ、来いよ、軍神。僕は逃げも隠れもしないぞ」


「そうか。ならば、この星と共に消えてしまえ!!」


 こいつ、本気だ。なら、こっちも。


「何もかも消し飛べ! 『マーズキャノン』!!」


「一切合切消滅させろ……『アースキャノン』」


 よし、マーズキャノンが消滅した。あとは……。


「『水銀のひつぎ


「な、なんだ! これは! くそ! 出せ! ここから出せ!!」


「ん? 軍神の力を使っているのに出られないのか?」


「そ、そんなことはない! どりゃ! そりゃ! えーい!! はぁ……はぁ……な、なぜだ? なぜ出られないんだ?」


「それは質問か?」


「ああ、質問だ」


「そうか。じゃあ、答えてやるよ。それはな、内側にあるものを出られなくする棺なんだよ。だから、お前は一生そこから出られない」


「な、なんだって!? やだ! やだ! そんなのイヤだ! なあ、せめて今週のミラクルバレット読ませてくれないか?」


「ミラクルバレット? あんな何もかも適当な漫画読んでるのか?」


「適当って言うな! たしかに毎回キャラの顔とか性格違うし、なんでもかんでもミラクルバレットで解決するから誰か死んでも緊張感ないし、いつまで経っても一万個くらいある伏線回収しないし、毎回子どものラクガキみたいな絵だけど、あんなに続きが気になる漫画は他にない!!」


「そうか。じゃあ、今から支離滅裂社に連れてってやるよ」


「なに!? いいのか!?」


「ああ、いいとも。その代わり、お前は今後一切他の星の王と戦えなくなる。それでもいいか?」


「もちろんだ! さぁ、早くここから出してくれ」


「分かった」


「よおし! じゃあ、行くぞ! 支離滅裂社へ!!」


「おー」


 最後の最後に座敷童子の童子わらこが集めた情報が役に立ったな。

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