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水星の女王

 僕が人間界に戻ると夏樹なつき(僕の実の妹)がダッシュでこちらに向かってきた。


「お兄ちゃーん!!」


「おっとっと」


 僕は夏樹なつきを受け止めると優しく頭を撫で始めた。


「もうー、待ちくたびれたよー」


「ごめんごめん」


「あっ! そうだ! なんか公園でお兄ちゃんを待ってるがいるよ!!」


「えっと、そいつもしかして地球の外から来たやつだったりするか?」


「あー、そういえば、そんなこと言ってたような気がする。とにかく早く来て! お兄ちゃん! ほら、早く!」


「はいはい、分かった分かった」


 僕たちが公園に着くと体が水銀でできている幼女がいた。


「ほう、お前がこの星の星の王か」


「え? あー、まあ、一応」


 こっちの言葉通じるのか。


「そうか。では、この私『水星の女王』と戦え! そして私の体の一部になれ!」


「お兄ちゃん、あんなの無視して帰ろうよ」


「あんなのって……うーん、まあ、気持ちは分かるが、向こうはわざわざ地球まで来てるからなー」


「おい! 最弱! 早く答えろ! 私と戦うのか! 戦わないのか!」


「ねえ、お兄ちゃん。あいつの首折ってもいい?」


「落ち着け、夏樹なつき。これは僕と彼女の問題だ」


「そっか。じゃあ、やばそうになったら言ってね⭐︎」


「ああ、分かった」


「話は済んだか?」


「ああ、終わったよ」


「そうか。では、まずは水銀刀で相手してやろう」


 あっ、そっちか。人形の方かと思った。


「じゃあ、僕は普通の霊剣で戦うよ」


「おい、最弱。そんなおもちゃの剣で私に勝てると思っているのか?」


「ふーん、君にはこれがおもちゃの剣に見えるんだね」


「ああ! 見えるね! 最弱が作った剣など全ておもちゃの剣だー!!」


 あれ? なんかこいつの動き、すごく遅く見える。あー、そうか。普段、鬼姫ききとかと稽古してるからそれより弱いと動きが遅く見えるんだ。でも、相手は一応星の王。油断しないようにしよう。

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