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妖怪ささくれ虫
あー、こいつかー。妖怪ささくれ虫。少し剥けている皮が好きなイモムシ型の妖怪。それを食べられた人間は食べられたことに大抵気づかないが、実はその妖怪が口から出す粘液には皮が剥けやすくなる物質が含まれている。そのため、大抵の人間はいつのまにか自分がささくれ虫の生き餌になっているのである。
「ねえ、星の王。早くアレやっつけてよ」
「いや、でも、大量発生してるわけじゃないから」
「早くして。まだ今月のノルマ達成できてないんだから」
「ノルマなんてあるのか。えっと、僕のささくれでよければいくらでも治していいぞ」
「うちは決まりが厳しいからそういうのは無理」
「そうか。じゃあ、ささくれ虫を利用するのはどうだ?」
「利用する?」
「ああ、そうだ。ほら、ささくれ虫が向かっている場所には必ずささくれがある人がいるだろ?」
「なるほど。ありがとう、星の王」
「え? もう解決したのか?」
「うん。じゃあね、星の王」
「おう、またなー」




