今日はこのへんにしようか
僕は高女の夢を実現させるために若返りの薬の原液を大量に生成した。
「なあ、高女。琵琶湖から溢れそうなくらい作っちゃったけど、これで足りるかなー?」
「作りすぎです! これの半分くらいでいいです!!」
「そうか。じゃあ、もう半分は金庫にでも入れておくか」
「誰かに盗まれたら悪用されますよ」
「もう半分には僕以外が触るとただの水になるようにしてあるから大丈夫だよ」
「なるほど」
「じゃあ、次は楽園作りだな。うーん、少し前に作った空に浮かんでる遊園地を参考にするかな。それー」
「ええ……」
「はい、完成。まあ、まだ自然豊かな田舎って感じだから家とかは少しずつ作っていこうか」
「いや、あの、私何もしてないんですけど」
「僕は心のどこかで夢を諦めてた。でも、君は夢を諦めるにはまだ早いっていうことを教えてくれた」
「そんな大袈裟なー。私は大したことはしてないですよー」
「いや、そうでもないよ。君のおかげで僕は一歩を踏み出せたんだから」
「な、なるほど」
でも、こういうのって少しずつ構築していくものじゃ。うーん、でも、まあ、この人ただの人間じゃないみたいですから余計なことは言わない方がいいですね。
「えーっと、必要なものはこれから作ったり補充するとして、あとは何したらいいかな?」
「ほ、法の整備とか、ですかねー?」
「そうか。じゃあ、妖怪法でも作るか。あっ、でも、試験や仕事に縛られないのが妖怪だからそういうのはない方がいいかもしれないな」
「で、でも、悪いことをしたらダメだと叱ってあげないといけないと思うんですよ」
「それは僕がやるよ」
「あっ、もしかしてその調子で全部自分でやるつもりですか?」
「マニュアルはもうあるけど、正直全部自分でやった方が早いからね。あっ、でも、やりたい人がいたらやってほしいとは思ってるよ」
あー、これはアレですね。この人がたくさんいればなんとかなるやつですね。というか、この世の仕事全部いらなくなるかもしれません。あっ、でも。
「あ、あの」
「ん? なんだ?」
「え、えーっと、ですね。その、答えたくなかったら答えなくていいですけど、性転換した経験ってありますか?」
「ヒント、おさん狐」
「あっ、ありがとうございます。このことは墓場まで持っていきます」
「いや、君もう死んでるじゃないか」
「あっ、そういえば、そうでした!」
『あははははは!!』
「さてと、じゃあ、今日はこのへんにしようか」
「そうですね。それにしてもいきなり雲の上まで来てくれって言われた時は驚きましたよ」
「そうなのか? でも、キューが道案内してくれたから迷わなかっただろ?」
「ええ、まあ。というか、キューちゃんはいったい何なんですか?」
「いろんなことができて友好的で人懐っこい自我のある空間だよ」
「そ、そうですか。まあ、あなたが生み出した空間ですからある日突然、暴れ出したりしませんよね?」
「それはキューにしか分からないよ」
「そうですか。まあ、その時はその時でなんとかしましょう」
「そうだな。じゃあ、また明日」
「はい」




