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家出

 野良猫たちが去った後、雅人まさとと白猫と夏樹なつきはリビングに向かった。


「……えっと、今日はもう遅いから、寝よう」


「そ、そうだね」


 夏樹なつき雅人まさとの実の妹)がそう言うと、白猫は彼の肩に飛び乗った。


「ちょ、ちょっと待って! まさかお兄ちゃんと一緒に寝るつもりなの!?」


「ええ、そうよ。ねえ? ダーリン」


 僕に振るなよ。


「え? いや、まあ、別にいいけど」


「じゃあ、私も一緒に寝る!」


 ええ……。


「ダーリン、どうする? 私は別に構わないけど」


「え? まあ、お前がそう言うのなら、僕も別に構わないけど」


 というか、ダーリンって呼ぶなよ、恥ずかしい。


「だそうよ。良かったわね、夏樹なつきちゃん」


「気安く話しかけないで! この泥棒猫!」


 まーた、この展開か。


「ん? もしかして、私がダーリンって呼ぶのが気に食わないの?」


「違うよ! うまく言えないけど……とにかくお兄ちゃんに近づかないで!」


 なるほどね。


「大好きなお兄ちゃんを私に取られたくないっていう気持ちは分かるけど、発情期でもない限り、襲う気はさらさらないわよ」


「じゃ、じゃあ、発情期になったら?」


 白猫は僕の頬に肉球を押し当てる。


「その時は……襲っちゃうかもしれないわね」


「だったら、その前にここから追い出す!」


 こいつはやっぱり私の敵だ!


「嫌よ。だって、私、『家出』してるんだから」


「い、家出? あー、そっか。ここを追い出されたら困るんだよね」


 チョロい。


「そうなのよー。だから、お願い。私を追い出さないで」


「わ、分かったよ。ただし! お兄ちゃんに変なことをしようとしたら、すぐに追い出すからね!」


 はいはい。


「はーい。それじゃ、ダーリン。行きましょ」


「え? あ、ああ、そうだな」


 なんかどっと疲れたな……。

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