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飛馬 輝

 僕がヒューマンキラーに密室殺人の手口を伝えるとやつは一時的に戦意を失った。


「……なぜ分かった?」


「僕の幼馴染はとてもいい目を持っていてね、犯行現場で何が起こったのか全部教えてくれたんだよ」


「分からない……。私は一度も犯行現場に行っていないのだぞ? それなのにどうして手口が分かったんだ?」


「それだよ」


「はぁ?」


「それが逆にヒントになったんだよ」


「ヒント?」


「ああ。だって、消去法で考えたらそれしかないんだから。誰もが一度は考える最も気づかれにくい殺し方、それは頭の中で殺したい人間を殺し、それを実現させること。つまり、想像の具現化だ」


「おかしい。私は必要な情報しか集めていないのにどうして」


「あんたは短期間でしかも同じ方法を使って人を殺し続けてしまった。それが皮肉にも今回の事件を解決へと導いてしまったんだよ」


「そうか。まあ、いい。私は元人類! 私が何人人を殺そうと私を捕まえることはできない! そしてお前は今日ここで死ぬ! 星の王よ! 今すぐ人類と共にあの世へ行けー!!」


 うーん、僕があの世に行くのはかなり難しいから無理かな。


「な、なぜだ! なぜ死なない!!」


「僕は一応、星の王だからね。この星が死なないと死ねないんだよ」


「そうか。では、なぜ人類が死んでいないんだ?」


「僕があんたの力の影響を受けないようにする結界をこの星全体に張ってるからだよ」


「ば、バカな! そんな霊力、神でもないお前に! 一個人にあるはずがない!!」


「星の王はその星のためならある程度のことはできる。つまり、僕は今あんたが嫌いな人類から少しずつ霊力を分けてもらっているんだよ」


「ば、バカな! こんなことありえない!! いや! あってはならない!!」


「ヒューマンキラー、残念だがこれが現実なんだよ」


「く、くそー! 私の邪魔を……するなー!!」


 さよなら、ヒューマンキラー。


「地獄耳の閻魔様。こいつはどこの地獄に落とせばいいですか?」


「……うーん、殺生だから…… 等活とうかつ地獄かな」


「承知しました。いでよ、地獄の門」


「な、なんだ! それは!!」


「見て分からないか? 地獄とつながっている門だよ」


「な、なぜお前がそんなものを呼び出せる!!」


「星の王だからだよ。あと閻魔様と面識があるから、かな?」


「ば、化け物め! なぜお前はのうのうと生きているんだ!! 私はこんなに苦しんでいるのに!!」


「この世は生き地獄、あの世は地獄。この世は生者に厳しく、死者には優しい。あの世には生者はほとんどおらず、死者には厳しい。つまり、生者も死者も救われないんだよ」


「それがどうした! 私の邪魔をするのなら例え閻魔だろうと殺してやる!!」


「知らないのか? 閻魔は元人類ですでに死んでいるぞ」


「な、何!?」


 うーん、これが元科学者か。こうはなりたくないな。


「あんた、かなり視野が狭くなってるから地獄でそれ直した方がいいよ」


 僕が地獄の門を開けると不思議なことにヒューマンキラーだけ門の中に吸い込まれていく。


「じゃあな、ヒューマンキラー。いや、『飛馬ひうま あきら』」


「く、くそー! 覚えていろ! 星の王! 私は必ずお前と人類を!」


「僕を殺したいのなら地球を殺せるようにならないと無理だぞ。まあ、僕や地球より強い存在はたくさんいるから多分もうあんたの出番はないよ。じゃあな、来世ではもっとうまくやれよ」


「来世……。そうか。その手があったか。よおし、転生しよう! 次の人生に期待しよう!!」


 なんかよく分からないけど、絶望の雲が晴れて希望の光がやつを照らしていたような気がする。


「よし、じゃあ、帰るか」

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