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 ヒューマンキラーのアジト。


「……来たか」


「はじめまして。あなたがヒューマンキラーですか?」


「ああ、そうだ」


「警察は……まだ来てないようですね」


「ああ」


「ヒューマンキラー、あなたの目的はいったい何なんですか?」


「その前に一つ質問させてくれ。星の王よ、君は人類の味方か? それとも敵か?」


「さぁ? どうなんでしょうね。僕は地球が死なないようにしているだけなのでそういうのはよく分かりません」


「そうか。では、君の質問に答えよう。私の目的は君を絶望させることだ」


「おや? 人類を滅ぼすんじゃないんですか?」


「もちろんそれも大事だが、たかが数人殺した程度では世界は変わらないのだよ」


「だから、人類を滅ぼす、ですか」


「ああ、その通りだ」


「なるほど。でも、僕にはちょっと理解できませんね」


「理解できないだと? あんな悪魔より残酷で神より残忍な種族など今すぐ滅ぼしてしまえば良いではないか!!」


「それ、元人類のあなたが言います?」


「私は! もうあんな醜い生き物ではない!!」


「ほう、では、なぜあなたは灰汁あく抜きをしないのですか?」


「やつらの灰汁あくは無限だ!」


「たしかに。けれど、あなたは灰汁にしか目を向けていないせいで視野が狭くなっています」


「何?」


「人にはストレスを貯めるバケツのようなものがあります。しかし、これはあまり大きくない。故にバケツから灰汁が溢れ出ると人は感情をコントロールできなくなります。例えば、自分が大切にしている物を壊されたり、家族を殺されたり、会社の上司の機嫌が悪い時に入室してしまったり……」


「それだ。それのせいで私は全てを失った。研究室も家族も功績も家も財産も……人類は私の敵だ。あんなやつらを生かしておくわけにはいかない」


「話はまだ終わっていませんよ。えー、まあ、ストレスがないという生活を実現するには色々と方法がありますが、僕はだいたい時間のせいまたは時間を味方につけます」


「時を操るのか?」


「いえ、違います。時間を利用するんです。例えば、物だと時間の経過と共に壊れやすくなるので物が壊れたら時間のせいにします」


「な、なるほど」


「誰かが殺された場合も時間のせいにし、それと同時に時間を味方につけて時間に身を委ねます」


「なるほど。時間に解決してもらうということだな」


「はい。そして会社の嫌な上司についてはこう考えます。こいつは百年後この世にいないんだよなーと」


「なるほど。そう考えると少しは気が紛れるな」


「まあ、一番いいのは転居とか転職ですね。そうすればガラッと環境が変わりますから」


「なるほど。発生源が分かればこうも容易く対処できるのか。ありがとう、星の王。おかげで人類もまだまだ捨てたものじゃないと思え……るわけないだろー!!」


「あっ、そうですか。じゃあ、これからあなたの殺しの手口を世界に公表しますね」


「な、何!?」

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