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やり方が荒いな

 フーリン(フリカムイの雛鳥)は嵐鬼らんきの一件以来、空を飛ぶ練習だけでなく空を飛んでいる鳥たちの様子を目で追うようになった。


「フーリンは今日も頑張ってるな。でも、こういうのはコツを掴むまではなかなか成長を実感できないんだよな」


「フーリン! 空を飛ぶのなんて簡単だよ! ほら! 私を見て!!」


 夏樹なつき(僕の実の妹)がフーリンの手助けをしている。だが、フーリンはそれを無視している。


「ちょっと! フーリン! 無視しないでよ!!」


夏樹なつき、ちょっと」


「ん? なあに? お兄ちゃん」


「こういうのは静かに見守るのが吉だ」


「そうなの?」


「ああ、そうだ。それとフーリンがお前を避けてる理由がなんとなく分かった気がするんだが聞きたいか?」


「聞きたい! 聞きたい!」


「そうか。じゃあ、言うぞ。フーリンがお前を避けてる理由、それは……お前が天才型だからだ」


「ん? どういうこと?」


「努力型のフーリンと天才型の夏樹なつき。まあ、要するに少しずつ自分のものにしていくフーリンとなんとなくできてしまうお前とでは成長速度に圧倒的な差があるからだ」


「ああ、つまり、あいつは私がなんでもすぐできるようになるのが嫌なわけね」


「まあ、そういうことだ。だから、フーリンが自力で空を飛べるようになるまでそっとしておいてくれ」


「はーい。でも、毎日うちの庭で練習してても意味ないと思うなー」


「ピヨ?」


「あんた、フリカムイなんでしょ? 大人になるとものすごくでかくなるんでしょ? そのへんの鳥の飛び方を参考にしてていいの?」


「ピヨ!」


「あんた、何悩んでるの? 本当に空を飛びたいって思ってる?」


「ピヨ! ピヨピヨ!」


「何? 私の助言は必要ないってこと? あー、そう。じゃあ、こうしましょう。今日中にあんたが空を飛べるようにならなかったら私はお兄ちゃんとデートする」


「ピーヨ! ピヨ、ピーヨ!」


「うるさい! 文句があるならさっさと飛べるようになりなさい! じゃないと今日の晩ごはんにするわよ!!」


「ピヨー!!」


 うーん、やり方が荒いな。でも、一応火はついたみたいだから良しとするか。

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