1255/1941
フリカムイの雛
卵が割れるまであと……。
「ピヨピヨ、ピヨピヨ」
「あっ! 卵割れた! うーん、これは……鳥の雛かな?」
「……フリカムイの雛だ」
「フリカムイ?」
「大人になると片翼だけで三十キロくらいになる巨大な鳥だ」
「さ、三十キロ!? それ、メートルじゃないの?」
「残念ながらキロだ」
「そっかー。でも、かわいいね。よしよし」
「ピヨピヨ、ピヨピヨ」
どうして君はこの時代にやってきたんだ? 僕に何かしてほしいのか?
「ねえ、お兄ちゃん。この子どうするの?」
「しばらくの間、保護するつもりでいるよ」
「しばらく? ずっとじゃないの?」
「ヒント、成鳥時の体長」
「あー、そういえば、でかかったね。でも、それまでは大丈夫なんでしょ?」
「まあな」
「そっか。じゃあ、今日からうちで飼おう! 名前は……フーリン!」
フーリンか。なかなかいい名前だな。
「ピヨピヨ、ピヨピヨ」
「これからよろしくね、フーリン!」
「ピヨピヨ、ピヨピヨ」
うーん、こっちの言葉は通じてなさそうだな。




