ちょっと動いた
はっ! あれは!! 妖怪ハンターたちが鉄パイプなどで卵を割ろうとしている。
「やめろ! その卵を無理に割ろうとするなー!!」
僕の叫び声が妖怪ハンターたちの鼓膜を破く。よし、今だ! 卵を回収しよう!! 僕が卵を回収しようとすると妖怪ハンターの一人が卵を蹴り飛ばした。
「な、なんてことするんだ! 割れたらどうするんだ!!」
僕は卵が地面に落下する前に卵を受け止める。ぎ、ギリギリセーフ。
「お兄ちゃーん! 卵あったー?」
「夏樹! 来ちゃダメだ!!」
妖怪ハンターの一人が夏樹(僕の実の妹)に向けて投げた無数の式神が夏樹の体に張り付く。
「これでもくらえ!!」
妖怪ハンターの一人が放った浄化の力が宿った火炎弾をいくつか放つ。それは間違いなく夏樹に直撃した。しかし。
「今のでおしまい? じゃあ、そろそろ反撃するね」
夏樹の黒い長髪が妖怪ハンターたちに襲いかかる。やつらは血だらけになりながらその場から離脱した。
「あれ? もうおしまい?」
「夏樹! 大丈夫か!? ケガしてないか!?」
「大丈夫だよー。あっ、なんか今卵ちょっと動いたような気がする」
「そうか。ということはもうすぐ生まれるな」
「何がー?」
「それは……もうすぐ分かるから言わない」
「そっかー。早く出てこないかなー」
卵が割れるまであと二分。




