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卵探し
卵。それは命の雫。たった一粒でも水面に波紋を作り、外界に影響を与える。
「……はっ! この気配は!!」
もうすぐ生まれる。卵の場所はここからそう遠くはない。
「お兄ちゃん、早くしないと日が暮れちゃうよ」
「夏樹、先に帰っててくれ。妖怪ハンターより先に卵を見つけないといけないから」
「それが妖怪ハンターの手に渡るとどうなるの?」
「おそらく世界が滅びる」
「そっかー。それは大変だね。よし! 決めた! 私、卵探し手伝う!!」
「夏樹。これは遊びじゃないんだ。お前にもしものことがあったら」
「大丈夫だよ。私、お兄ちゃんが思ってるほど弱くないもん」
「うーん、まあ、そうだな。よし、じゃあ、さっそく卵探しを始めようか」
「はーい!」
「あー、分かってるとは思うが何かあったら大声で僕の名前を叫ぶんだぞ?」
「うん! 分かった!!」
「よし、じゃあ、始めるか」
「うん!!」
卵が割れるまであと五分。




