僕が一番怖いのは
どうやら座敷童子の童子は僕と夏樹(僕の実の妹)がどういう存在なのか知っているようだ。
「……知らないよ、そんなこと。というか、知りたくもないよ」
「どうしてですか?」
「生きていくのに必要のない情報だからだよ」
「と言いますと?」
「僕たちが何者だろうと僕は夏樹の実の兄で夏樹は僕の実の妹だ。それ以外のことは知らなくても生きていける」
「なるほど。分かりました。では、私はこれで」
「おう」
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん? なんだ?」
「お兄ちゃんは自分が怖くないの?」
「僕が一番怖いのはお前を失うことだ。それと、お前を幸せにできないやつとは絶対に結婚させない」
「それ、本当!? 嬉しい! お兄ちゃん、大好きー!!」
こ、この兄妹はやはり兄妹ではありませんね。兄妹にしては距離が近すぎますし、なんとなく自分に足りないものを補い合っているように見えますし、それに何よりお二人は強い何かで結ばれています。それが何なのかは分かりませんが、とにかくこれは普通ではありません。
「クロウさん」
「ひゃ、ひゃい! 何でしょうか! 童子さん!」
というか、いつの間に私の背後に。
「お二人のことはそっとしておいてください」
「え?」
「余計なことをした結果、取り返しのつかないことになってしまった。そんな未来をお望みなのであればどうぞご自由に」
容姿と発言のギャップがすごい!
「わ、私はそのような未来にしたくはありません!」
「そうですか。では、そっとしておいてください」
「は、はい! 分かりました!!」
「あー、それと、あまりお二人のことを調べないでください」
「ど、どうしてですか?」
「世界には知っているだけで命を狙われる情報があるからです」
「わ、分かりました。今日から……いえ、今からお二人について詮索しないことを誓います」
「よろしい。では、私に消されないように頑張ってください」
「ひゃ、ひゃい!」
あー、もう! 何なんですか!? この家には変なのしかいないんですか!?




