わ、私はあなたなんかに負けません!
クロウ(黒いモノリス。今は黒いカラスに変身している)は僕の背後に隠れながら夏樹(僕の実の妹)と話している。
「わ、私はあなたなんかに負けません!」
「へえ、そうなんだ。じゃあ、最初から本気出すね」
「ぼ、暴力反対!!」
「はいはい。じゃあ、ババ抜きでもしよっか」
「る、ルールを教えてください。やったことないので」
「そっか。じゃあ、教えてあげる。最後までババつまりジョーカーを持ってると死んじゃうゲームだよ」
「そ、そうなのですか!?」
「クロウ、今のは忘れていいぞ。本当はジョーカーを最後まで持ってると負けるゲームだ」
「そ、そうですか。あー、びっくりしたー。てっきり命のやり取りをするのかと思いました」
「私はそれでもいいよ」
「無理です。普通のババ抜きにしましょう」
「はいはい。じゃあ、やり方教えるからこっち来て」
「い、嫌です! あなたに教わるくらいなら死んだ方がマシです!」
「そう。じゃあ、お兄ちゃんに教えてもらって」
「え? あっ、はい、分かりました」
「じゃあ、明日の夜、リビングでやるからそれまでにやり方覚えといてね。じゃあ、おやすみー」
「お、おやすみなさい」
よ、良かった。二人とも無傷だ。あー、もう心臓に悪いよー。




