クイーンモノリス
地質調査が終わった直後、黒いモノリスたちは姿を消した。
「雅人さああああん! どうしましょう! 私、このままだとクビになっちゃいますー!!」
「いや、ライムさんは悪くないでしょ。あいつらの制御は上の連中がやってたんだから。というか、あいつら知能高いですね」
「え? どういうことですか?」
「家の外を見てください」
「家の外? 何もいませんけど」
「いますよ。やつらは今、機械に感知されないようにしているんです」
「やつらって、まさかそこにいるんですか?」
「ええ、いますよ。この星の地質を調査していた黒いモノリスたちが全て」
「そ、そうなのですか? では、さっそく上に報告を」
「今はまだしないでください。じゃないとあなたは今ここで死ぬことになりますよ?」
「し、死ぬ!? わ、分かりました! 私、何もしません! ここでおとなしくしてます!!」
「そうしてもらえると助かります。さてと」
僕が家の外に出ると、家の外にうじゃうじゃいる黒いモノリスたちの代表が僕に話しかけてきた。
「はじめまして。私はクイーンモノリス。まあ、クイーンといっても上の命令には逆らえないのですが」
ということは命令されなければ、こいつがモノリスたちを操れるのかな?
「そうですか。えっと、僕に何か御用ですか?」
「はい。実はこの娘があなたのことを気に入ってしまいましてね」
あっ、さっきまで土竜の近くにいたやつだ。
「そうですか。えっと、それで僕は何をすればいいんですか? この娘と結婚すればいいんですか?」
「最初はそうするつもりでしたが、それはお互いのことをよく知ってからの方が良いという意見が多数あったのでとりあえず同棲させることにしました」
うん、まあ、そうなるよね。
「そうですか。分かりました。えっと、僕の名前は『山本 雅人』。今日からよろしくね」
「み、ミィ!」
「ふむ、どうやら緊張していてうまくしゃべれないようです。まあ、そのうち落ち着くと思いますのであまり刺激を与えないようにしてください」
「分かりました。えっと、みなさんはこれからどうするのですか?」
「宇宙調査局に戻ります。独立しようと思えばいつでもできますが、今はあそこにいる方が安全なので」
「そうですか。では、また会う機会がありましたら気軽にご連絡ください」
「そうさせてもらいます。では、私たちはそろそろ失礼します」
クイーンモノリスがそう言うと彼女たちは一斉に地球から去っていった。




