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水の精がやってきた
あっ、雨降ってきた。洗濯物取り込まないといけないなー。
「雅人さん、洗濯物ならもう取り込んであるので大丈夫です」
「そうか。ありがとう、童子」
「どういたしまして」
「ん? お前の肩になんかいるぞ?」
「虫ですか?」
「いや、違う。これは多分、水の精だ」
「そうですか。では、今すぐ外に逃がしてきます」
「待て。こいつ、なんか元気なさそうだから元気になるまでうちで面倒を見よう」
「はぁ、そうですか。分かりました」
「ん? 反対しないのか?」
「私はそこまで鬼ではありません。それに」
「それに?」
「いえ、なんでもありません。では、まず水を入れたコップの中に入れてみましょうか」
「そんなことして大丈夫か? 溺れたりしないか?」
「水の精が溺れるなんてありえません」
「でも、今弱ってるぞ?」
「大丈夫ですよ。この子は少し疲れているだけですから」
「そうか。よし、じゃあ、水持ってくるからお前はそこで待っててくれ」
「はい、分かりました。あなた」
あなたって……。
「あなたは余計だ」
「はいはい」




