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タイムカプセル?

 植物園に着くとそこには巨大な人喰いウツボカズラがいた。


「うーん、かなりでかいな。いったい何人食べたんだろう。いや、今はそんなことより依頼人の右耳がなぜここにやってきたのかを考えよう」


「はぁ……はぁ……はぁ……や、やっと追いついた」


「追いつくの早いな。何かスポーツやってるの?」


「やってないよ。まあ、バラバラ病になってから普通の人より運動量増えてるからそのおかげで体力ついたんだと思う」


「そうか。で? この植物に見覚えは?」


「うーん、あるようなないような……あっ! そっか! タイムカプセル!!」


「タイムカプセル?」


「そうそう! バラバラ病になる少し前にここに埋めたんだよ!!」


「ここってどこだ? もしかしてウツボカズラの下だったりする?」


「お、大当たりー」


「はぁ……それで? 僕は何をすればいいんだ?」


「え?」


「久しぶりに見たいんだろ? タイムカプセルの中を」


「う、うん」


「そうか。で? 僕は何をすればいいんだ? このウツボカズラを倒せばいいのか?」


「いや、そいつはタイムカプセルを守ってるから倒さなくていいよ」


「本当にいいのか? こいつ、結構人食べてるぞ?」


「別にいいよ、どうせ泥棒か植物マニアだろうから」


「そうか。じゃあ、入れ替えを使おう」


「入れ替え?」


「ああ。愛沢あいざわさん、タイムカプセルの大きさって分かる?」


「え? あー、うーん、たしかなんかのお菓子の箱だったからティッシュの箱くらいだと思うよ」


「そうか。分かった。じゃあ、やるか。『入れ替え』!!」


 僕はそのへんに落ちていた小石とタイムカプセルの位置を入れ替えた。


「これが君のタイムカプセルかな?」


「あー! そうそう! これこれ! ありがとう! まさっち!!」


「どういたしまして」


「キャイヤー!!」


「なんかこのウツボカズラ怒ってるな。なあ、本当に倒さなくていいのか?」


「うん、いいよ。ごめんねー! ちょっとだけ見たら元の場所に戻すからそれまで待っててー!」


「キャイ……」


「分かったってさ」


「え? まさっち、こいつがなんて言ってるのか分かるの?」


「え? あー、まあ、なんとなく」


「へえ、そうなんだ。すごいなー、まさっちは」


「いや、別にすごくないよ。それよりタイムカプセルの中には何が入ってるんだ?」


「ふっふっふー、それはねー……」

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