寝肥
世の中には怪病が存在する。体から虫が出てくる病気や毎日自分以外の存在になってしまう病気、それから恋も一応怪病に含まれる。まあ、今回は恋絡みの話ではないのだが。
「ちょっと待て。久しぶりに部室に来てみたら美人四天王の一角がいるのだが……これはいったいどういうことだ?」
「それは彼女から聞いて。というか、彼女は雅人を指名してるんだよ」
「指名? 僕を? なんで?」
「それはねー」
「私、寝るとすごく太っちゃうんです! どうにかしてください! このままじゃ一生お嫁に行けません!!」
「寝るとすごく太る? あー、それは『寝肥』だね」
「寝肥?」
「うん。ところで君は一日何食?」
「……五食です」
「本当は?」
「……十食です」
「そうか。まあ、被害が出てないってことはご両親がなんとかしてるんだろうね」
「なるほど。あっ、そういえば、私の料理だけ腹持ちするようなものばかりです」
「そうか。でも、君は食べすぎるとこの町をいや星を飲み込むくらい大きくなってしまうから気をつけた方がいいよ」
「そうですか。具体的には何をすればいいですか?」
「そうだなー。散歩を日課にすればいいんじゃないかなー」
「そんなことしたらおなかが空いてしまいます」
「そうかな? 散歩をすると普段歩いている道ですら全然違うものに見えてくるから食欲なんてどこかに行っちゃうと思うよ」
「そう、ですか。分かりました! やってみます!!」
「そうか。まあ、程々にね」
「はい!!」
うーんと、こんな感じで良かったかな? まあ、何かあったらまた呼ばれるだろうから一応いつ呼ばれてもいいようにしておこう。




