君は今、幸せ?
数日後、倒したはずのジェノサイダーが復活した。
「うーん、やっぱり人類を滅ぼさないと倒せないのかなー。でも、あいつはこの星出身じゃないからそれだけじゃ倒せないような気がするなー」
「お兄ちゃん、とりあえずあいつがいる場所まで行ってみようよ」
「ああ、そうだな」
うーん、反応はあるのに姿が見えないなー。
「会いたかったわ、雅人」
「お前は……リリス」
「おい、近いぞ。リリス。それ以上、お兄ちゃんに近づくな」
「おー、怖い怖い。これだからブラコンは」
「黙れ、ビ○チ」
「仕方ないじゃない。神は私を対等に扱ってくれなかったんだから」
「どうでもいい。それよりなんであんたがここにいるの?」
「その前にあなたたちが倒したジェノサイダーがなんで復活したのか知りたくない?」
「…‥お前か。お前が復活させたのか?」
「ええ、そうよ」
「何のために?」
「私が強くなるためよ」
「はぁ……これだから負けヒロインは」
「……は?」
「あんたはずっとそう。いつまでも過去に縛られてる。かわいそう」
「黙れ! お前に何が分かる!!」
「分からないわよ。あんたのことなんて。あっ、もしかして同情してほしいの? それとも共感?」
「黙れ! 黙れ! 私は幸せそうにしているやつが死ぬほど嫌いなんだ!!」
「あっ、そう。じゃあ、地球外でやって。迷惑だから」
「小娘が……殺してやる」
「あれ? もしかして怒った? ごめんごめん。許して」
「許さない……お前は殺す。お前の兄をお前の目の前で殺した後、ゆっくり殺す」
「あっ、そう。で? それ、今のあんたにできるの?」
「できる! 私の胎内にジェノサイダーの力がある限り、私は無敵だ!!」
「うーんと、今のって体の中って意味? それとも」
「私の胎内だ」
「あっ、そっちね。分かった。じゃあ、そこを狙うね」
「え?」
「ん? 何? 弱点があるんだったらそこを狙って攻撃した方が早く倒せるでしょ?」
「そ、それはそうだけど、そんなことされたら私」
「あんたが生きていようと死んでいようと私はどうでもいい。お兄ちゃん以外、私の敵だから」
「て、敵? それって両親や友人も含まれるの?」
「うん、含まれるよ。私からお兄ちゃんを取ろうとするから」
こ、こいつ、頭がおかしい。どうしてこんなやつが野放しにされているんだ?
「さてと、それじゃあ……さようなら」
「ひいっ!」
「夏樹、もういい。リリス、失禁してるから」
「え? あっ、ホントだ。ごめんね、リリスちゃん」
「ふぇ?」
「あー、ごめん。うちの妹、敵には容赦ないから。まあ、なんというか下が海でよかったな」
あれ? なんかリリスの顔赤いな。大丈夫かな?
「リリス、大丈夫か?」
「ち、近い! 顔近いよ!!」
「あー、ごめん。なんか今にも泣き出しそうだったからつい」
「……私、処女じゃないよ」
「え? 僕は別にそんなの気にしないよ。けど」
「けど?」
「君は今、幸せ?」
「う、うん! 幸せだよ! 楽園にいた時よりすっごく幸せ! もっと早くあなたと直接話したかった!!」
「そうか。まあ、これからはあんまりイタズラしないようにしてくれよ」
「う、うん、分かった。約束する」
「そうかそうか。リリスは偉いなー」
僕がリリスの頭を撫でるとリリスは気持ちよさそうな表情を浮かべながら目を閉じた。
「ふ、ふみゅー」
なんだ? こいつ。あー、そうか。私が精神攻撃して弱ったところにお兄ちゃんに話しかけられたからお兄ちゃんのことが好きになったのか。
「ジェノサイダー」
「ぎくっ! あ、あははははは。えっと、見逃してくれないかなー?」
「もう文明を破壊しないと約束できるか?」
「します! 約束します! だから、どうか命だけはご勘弁を!!」
「そうか。あっ、嘘ついたら夏樹の髪をお前の体に千本刺すから、そうならないように気をつけろよ」
「は、はいー!」
「よし、じゃあ、帰るか」
「はい♡」
「分かりました!」
こいつもうちに来るのか。
「夏樹、帰るぞ」
「はーい」
でも、まあ、お兄ちゃんらしいからいいや。




